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- 衛生管理者とは何をする人なのか、会社から「取って」と言われてもピンとこない
- 従業員が50人を超えそうで、衛生管理者が何人必要なのか知りたい
- 第一種と第二種のどちらを受ければいいのか、試験がどんなものか知りたい
- 衛生管理者の仕事と、法律上の位置づけ
- 何人の職場で、何人必要か(早見表)と罰則
- 第一種・第二種・衛生工学の違い、試験の科目・合格基準・手数料・受験資格・合格率と勉強の入口
衛生管理者とは、労働安全衛生法にもとづいて事業者が選任し、職場の衛生(働く人の健康を守ること)に関わる技術的なことがらを管理する担当者です。常時50人以上の労働者がいる事業場では、業種を問わず選任が義務で、人数に応じて1〜6人を14日以内に選び、監督署に報告します。なるには、都道府県労働局長の免許(第一種・第二種・衛生工学)か、医師・労働衛生コンサルタントなどの資格が必要です。
かんたんに言うと、衛生管理者は「職場の健康の見はり役」です。けがを防ぐ側の「安全」ではなく、病気や体調不良を防ぐ側の「衛生」を受け持ちます。この記事では、仕事の中身、会社の選任の義務、免許の種類、試験の全体像を順にたどります。
- 労働安全衛生法 第12条(衛生管理者の選任と仕事)
- 労働安全衛生法施行令 第4条(常時50人以上)
- 労働安全衛生規則 第7条(選任の決まり)・第10条(資格)・第11条(巡視)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
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法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
衛生管理者とは:職場の「衛生」を管理する国家資格の担当者
労働安全衛生法第12条は、事業者(会社)に、一定の規模の事業場ごとに衛生管理者を選び、「衛生に係る技術的事項」を管理させるよう定めています。「衛生」とは、働く人の健康を守ることです。化学物質・粉じん・騒音・暑さなどによる健康障害を防ぎ、健康診断やストレスチェックを回し、職場の環境を整える仕事がここに入ります。
学校でいえば、保健室の先生に近い役割です。けがをしない体育館の使い方を決めるのが「安全」、インフルエンザがはやらないように換気や手洗いを徹底するのが「衛生」で、衛生管理者は後者の担当です。
仕事の中身:法律が決めた4つの分野
衛生管理者が管理するのは、法第10条第1項に並ぶ業務のうち「衛生」に関わる部分です。条文の言葉を職場の仕事に言いかえると、次のようになります。
この表の見方:左が条文の言葉、右がそれを職場の仕事に言いかえたものです。安全に関わる部分は安全管理者が受け持ちます。
| 法律の言葉(法第10条第1項) | 職場での仕事の例 |
|---|---|
| 1 健康障害を防止するための措置 | 有害な化学物質・粉じん・騒音・暑さへの対策、作業環境の点検、保護具の管理 |
| 2 衛生のための教育 | 雇入れ時の教育の衛生の部分、熱中症や腰痛の予防教育の企画 |
| 3 健康診断の実施その他健康の保持増進 | 健康診断の手配と結果の整理、医師の意見を聴く手続き、ストレスチェック、長時間労働の人への対応 |
| 4 労働災害の原因の調査と再発防止(衛生に関わるもの) | 熱中症・中毒・腰痛などが起きたときの原因調査と対策 |
このほか、規則で決まっている仕事が2つあります。1つは少なくとも毎週1回の職場の巡視で、設備・作業方法・衛生状態に有害のおそれがあれば、すぐに健康障害を防ぐ措置をとります(規則第11条第1項)。もう1つは衛生委員会の委員で、事業者は衛生管理者の中から委員を指名します(法第18条第2項)。会社は、衛生管理者がこれらの措置をとれるように権限を与えなければなりません(規則第11条第2項)。
「安全衛生管理者」という資格はない。安全管理者・衛生管理者など似た名前の役職の違いがわかる
衛生管理者が委員になる衛生委員会と、安全衛生委員会の違い・設置が必要な人数がわかる
- 労働安全衛生法 第10条第1項・第12条・第18条第2項
- 労働安全衛生規則 第11条(定期巡視と権限の付与)
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法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

何人から必要?常時50人以上で、規模に応じて1〜6人
義務(罰則あり) 衛生管理者の選任は、常時50人以上の労働者を使用する事業場の義務です(施行令第4条)。業種は問いません。製造業でも、事務所だけの会社でも、50人以上なら対象です。数える「労働者」には、パート・アルバイトも入ります。
この表の見方:労働安全衛生規則第7条第1項第4号の表です。「事業場」は会社全体ではなく、工場・支店・本社など場所ごとに数えます。
| 事業場の規模(常時使用する労働者数) | 必要な衛生管理者の数 |
|---|---|
| 50人以上 200人以下 | 1人以上 |
| 200人を超え 500人以下 | 2人以上 |
| 500人を超え 1,000人以下 | 3人以上 |
| 1,000人を超え 2,000人以下 | 4人以上 |
| 2,000人を超え 3,000人以下 | 5人以上 |
| 3,000人を超える | 6人以上 |
選任には、人数のほかに3つの決まりがあります。
- 14日以内:選任が必要になった日(たとえば50人になった日)から14日以内に選びます(第7条第1項第1号)
- その事業場の専属:ほかの事業場との兼務はできません。2人以上選ぶ場合で、その中に労働衛生コンサルタントがいるときは、その1人だけは専属でなくてもかまいません(第2号)
- 遅滞なく報告:選任したら、免許などの資格を証明する電子データを添えて、所轄の労働基準監督署に電子申請で報告します(第7条第3項)
常時1,000人を超える事業場などでは、衛生管理者のうち1人を、ほかの仕事をしない専任にする必要もあります(第5号)。「専属」(その事業場に所属)と「専任」(衛生管理の仕事だけをする)は言葉が似ていますが、別の決まりです。
衛生管理者を選任しないと、法第120条により50万円以下の罰金の対象になります。また、監督署長は、労働災害を防ぐために必要と認めるときは、衛生管理者の増員や解任を命じることができます(法第12条第2項で第11条第2項を準用)。
当てはめの例:従業員が増えてきた会社
架空の例で確かめます。ある食品工場で、正社員40人とパート15人が常時働いているとします。常時使用する労働者は55人なので、50人以上に当てはまります。必要な衛生管理者は1人です。製造業なので、第一種か衛生工学の免許を持つ人(または医師・労働衛生コンサルタントなど)を、55人になった日から14日以内に選び、監督署に報告します。つまり、「パートは数えない」「本社でまとめて1人」は、どちらも間違いです。
- 労働安全衛生法 第12条・第120条第1号
- 労働安全衛生法施行令 第4条
- 労働安全衛生規則 第7条
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法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

免許は3種類:第一種・第二種・衛生工学の違い
衛生管理者になれるのは、都道府県労働局長の免許を持つ人と、医師・歯科医師・労働衛生コンサルタントなどです(規則第10条)。免許には第一種衛生管理者免許・第二種衛生管理者免許・衛生工学衛生管理者免許の3つがあり、事業場の業種によって、選任に使える免許が決まります(規則第7条第1項第3号)。
この表の見方:労働安全衛生規則第7条第1項第3号と別表第四(第62条関係)をもとに整理しました。
| 免許の種類 | 選任できる業種 | 取り方 |
|---|---|---|
| 第一種衛生管理者 | すべての業種 | 第一種の免許試験に合格(ほかに、大学などで医学の課程を修めて卒業した人なども対象) |
| 第二種衛生管理者 | 有害業務と関係の少ない業種だけ(情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業、サービス業など) | 第二種の免許試験に合格 |
| 衛生工学衛生管理者 | すべての業種(有害業務の多い大規模な事業場で1人が必要になることがある) | 大学・高専で工学か理学の課程を修めて卒業し、登録を受けた機関の講習を修了(試験ではない) |
第一種か衛生工学が必要な業種は、条文では、農林畜水産業・鉱業・建設業・製造業(物の加工業を含む)・電気業・ガス業・水道業・熱供給業・運送業・自動車整備業・機械修理業・医療業・清掃業の13業種です。それ以外の業種は第二種でも選任できます。
第一種(すべての業種)
- 製造業・建設業・運送業・医療業などは第一種が必要
- 試験は44問(有害業務の範囲あり)
- 転職しても業種を選ばない
第二種(オフィス・店が中心の業種)
- 情報通信・金融・保険・小売などで選任できる
- 試験は30問(有害業務の範囲なし)
- あとから第一種に進む「特例第一種」の試験がある
どちらを受ける?3つの質問で決める
いいえ → →Q2
いいえ → →Q3
いいえ → 第一種を受ける
つまり、迷ったら第一種です。第二種で選任できる業種でも第一種は使えますが、その逆はできません。
- 労働安全衛生規則 第7条第1項第3号・第10条・第62条・別表第四
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

試験の概要:科目・合格基準・手数料・日程
衛生管理者の免許試験は、法律上は都道府県労働局長が行う試験で(法第75条)、実際の試験事務は公益財団法人 安全衛生技術試験協会が行っています。全国7か所の安全衛生技術センターと、東京・大阪の試験場で受けられます。
この表の見方:安全衛生技術試験協会の公表内容です。手数料は令和5年6月1日現在の額です。
| 項目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 科目と問題数 | 労働衛生(有害業務10問・それ以外7問)、関係法令(有害業務10問・それ以外7問)、労働生理10問の44問 | 労働衛生10問、関係法令10問、労働生理10問の30問(有害業務の範囲なし) |
| 配点 | 有害業務の範囲は1問8点、それ以外は1問10点。合計400点 | 各科目1問10点。合計300点 |
| 試験時間 | 3時間(13:30〜16:30) | 3時間(13:30〜16:30) |
| 合格基準 | 科目(範囲)ごとに40%以上、かつ合計60%以上 | 科目ごとに40%以上、かつ合計60%以上 |
| 手数料 | 8,800円 | 8,800円 |
| 出題形式 | 5つの選択肢から1つを選ぶ | 同じ |
日程は、各センターで月に1〜4回程度、東京と大阪の試験場ではそれより多く組まれていて、年度の前半と後半に分けて協会のサイトに出ています。このほか、センターのない地域で年に数回行われる出張試験もあります。申込みは、オンラインなら試験日の2か月前から14日前まで、郵送なら14日前の消印までです。受験票が出たあとは、日程の変更も手数料の返金もできません。
合格基準の「科目ごとに40%以上」が落とし穴です。合計が60%を超えていても、1つの科目(第一種では範囲)が40%に届かなければ不合格になります。苦手な科目をつくらないことが、いちばんの近道です。
- 労働安全衛生法 第75条、労働安全衛生規則 第69条(免許試験の区分)
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」(試験科目・合格基準・受験資格)
- 安全衛生技術試験協会「試験手数料」
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の日程」
- 安全衛生技術試験協会「よくあるご質問(免許試験)」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
受験資格:学歴と「労働衛生の実務」の年数
衛生管理者の試験は、誰でも受けられるわけではありません。学歴と「労働衛生の実務」の経験年数の組み合わせで、受験資格が決まります。多くの人が当てはまるのは次の3つです。
この表の見方:安全衛生技術試験協会の受験資格の一覧から、主な3つを抜き出しました。専修学校・各種学校は、ここでいう大学・短大・高専に含まれません。ほかにも職業訓練の修了などの区分があります。
| 学歴 | 必要な労働衛生の実務の年数 | 添付する書類 |
|---|---|---|
| 大学・短期大学・高等専門学校を卒業 | 1年以上 | 卒業証明書(または卒業証書の写し)+事業者証明書 |
| 高等学校・中等教育学校を卒業 | 3年以上 | 卒業証明書(または卒業証書の写し)+事業者証明書 |
| 学歴を問わない | 10年以上 | 事業者証明書 |
「労働衛生の実務」は、協会の例では、健康診断結果の取りまとめ、疾病統計の作成、衛生管理者の補助などです。デスク周りの清掃や電球の交換だけでは当てはまりません。この実務の経験は、会社に事業者証明書を書いてもらって証明します。派遣社員なら、証明するのは派遣元の会社です。
総務や人事で健康診断の手配をしている人は、多くの場合この実務に当てはまります。現場の作業者でも、衛生委員会の委員や作業環境の改善を担当していれば対象になることがあるので、あきらめる前に自分の仕事を書き出して、会社の担当部門に確かめてみてください。
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」(受験資格・添付書類)
- 同「よくあるご質問」(労働衛生の実務の例)
- 安全衛生技術試験協会「第一種・第二種衛生管理者の紹介」(試験科目・合格基準・受験資格)
- 安全衛生技術試験協会「よくあるご質問(免許試験)」
情報の確認時点:2026年10月。
合格率と勉強の入口
協会が公表している令和7年度(2025年度)の学科試験の合格率は、第一種46.8%(受験66,401人・合格31,046人)、第二種48.7%(受験40,653人・合格19,796人)です。およそ2人に1人が合格する試験で、受験者がとても多いのが特徴です。
勉強の入口として、まず次の3つを押さえると迷いません。
試験日を決めて逆算する試験は年に何回もあるので、2〜3か月後の日程を先に決め、週に使える時間から計画を立てます。
テキストで全範囲を1周する労働衛生・関係法令・労働生理の3科目(第一種はさらに有害業務の範囲)を、浅くてもよいので一度通します。
公表問題で形式に慣れる協会は年に2回(4月と10月)、直近の試験問題と正答を公表しています。5つの選択肢から選ぶ形式に慣れ、4割に届かない科目を先につぶします。
第二種を受けるなら、本文と過去問演習が1冊にまとまった次の本で、範囲を1周するところから始められます。TAC出版の『スッキリわかる 第2種衛生管理者 テキスト&問題集』2026年度版です。イラストや図表の多い本文と、項目ごとの過去問演習が1冊になっています(堀内れい子 著)。
第一種を受けるなら、有害業務の範囲まで入ったこちらが合います。TAC出版の『スッキリわかる 第1種衛生管理者 テキスト&問題集』2026年度版です。有害業務の範囲を含む5つの章の本文と、項目ごとの過去問演習が1冊になっています(堀内れい子 著)。
- 安全衛生技術試験協会「統計」(令和7年度の合格率)
- 同「公表試験問題」
- 安全衛生技術試験協会「統計」(令和7年度の免許試験の合格率)
- 安全衛生技術試験協会「公表試験問題」
情報の確認時点:2026年10月。
合格から選任までの流れ
試験に合格しただけでは、まだ衛生管理者にはなれません。免許証をもらい、会社に選任されて、はじめて衛生管理者です。受験資格の確認から選任までを並べます。
受験資格を確かめ、事業者証明書をもらう学歴と労働衛生の実務の年数を確かめ、会社に事業者証明書を書いてもらいます。
申し込んで受験するオンラインなら試験日の2か月前から14日前まで。手数料は8,800円です。
合格したら免許を申請する合格通知書と本人確認書類を添えて、免許申請書を東京労働局免許証発行センターに出します(住所地にかかわらず)。申請しないと免許証は交付されません。
会社が選任し、監督署に報告する選任が必要になった日から14日以内に選任し、免許の証明を添えて遅滞なく電子申請で報告します。
毎週1回の巡視と、衛生委員会選任後は、少なくとも週に1回職場を巡視し、衛生委員会の委員として毎月の会議に出ます。
- □ 自分の学歴と労働衛生の実務の年数で、受験資格に当てはまるか確かめた
- □ 会社の業種から、第一種・第二種のどちらが必要かを決めた
- □ 試験日を決め、申込期間(2か月前〜14日前)を予定に入れた
- □ 合格後の免許申請(東京労働局免許証発行センター)を忘れない
- □ 会社側:選任の期限(14日以内)と監督署への報告の担当を決めた
- 労働安全衛生法 第72条(免許証の交付)
- 労働安全衛生規則 第7条第1項第1号・第3項、第11条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 安全衛生技術試験協会「合格後の手続き」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問
まとめ:衛生管理者は「職場の健康の見はり役」。50人以上で選任が義務
- 衛生管理者は、法第12条にもとづき事業者が選任し、衛生(健康を守ること)に関わる技術的事項を管理する担当者です。
- 常時50人以上の事業場で業種を問わず義務。規模に応じて1〜6人を、14日以内に専属で選び、監督署に報告します(違反は50万円以下の罰金)。
- 仕事は健康障害の防止・衛生教育・健康診断と健康づくり・衛生に関わる労災の原因調査、少なくとも週1回の巡視、衛生委員会の委員です。
- 免許は第一種(全業種)・第二種(有害業務の少ない業種)・衛生工学の3つ。製造業・建設業などは第一種が必要です。
- 試験は第一種44問・第二種30問、科目ごと40%かつ合計60%で合格、手数料8,800円、受験資格は学歴と実務の年数。令和7年度の合格率は第一種46.8%・第二種48.7%です。
つまり、「受ける側」はまず自分の業種で第一種か第二種かを決めて受験資格を確かめること、「会社側」は50人に近づいたら14日の期限を見越して候補者を用意しておくことが出発点です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


