※この記事にはプロモーションが含まれています。
- 化学物質管理者を選任するよう言われたが、どんな人を選べばいいかわからない
- うちは塗料や接着剤を使うだけだが、それでも必要なのか知りたい
- 講習は受けないといけないのか、何時間なのか気になる
- 化学物質管理者とは何をする人か
- 選任が必要な職場と、製造・取り扱いで違う講習
- 選任の手順と、保護具着用管理責任者との違い
化学物質管理者は、ラベルやSDS(安全データシート)の確認、リスクアセスメントなど、職場の化学物質の管理をまとめる技術面の責任者です。リスクアセスメント対象物を製造・取り扱い・譲渡提供する事業場は、規模に関係なく、事業場ごとに選任しなければなりません(労働安全衛生規則第12条の5)。
2024年4月から義務になった、比較的新しい役職です。かんたんに言うと、「この職場で使う化学物質の危なさを知り、対策を決めて、記録を残す」係を1人決めておく、ということです。
- 労働安全衛生規則 第12条の5(化学物質管理者が管理する事項等)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省の資料「化学物質管理者を選任しましょう!」(化学物質管理マニュアル 解説テキスト)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
化学物質管理者とは:化学物質の「自律的管理」のまとめ役
国は、化学物質ごとに細かく決まりを作る方法から、事業者が自分で危なさを調べて対策を決める「自律的管理」に、少しずつ切り替えています。化学物質管理者は、その自律的管理を職場で進める中心の人です。
ここで出てくる言葉を、先に整理しておきます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| リスクアセスメント対象物 | ラベルの表示やSDSの交付が必要とされている化学物質(労働安全衛生法第57条・第57条の2の対象)。塗料・溶剤・接着剤などに多く含まれる |
| SDS(安全データシート) | 化学物質の危なさや扱い方を書いた書類。製品を買うと、メーカーから受け取れる |
| リスクアセスメント | その化学物質を使う作業で、どれくらい危ないかを調べて見積もること |
家庭の「薬箱の管理係」に似ています。どの薬があるか、使い方と注意はどう書いてあるか、子どもの手の届かない所にあるかを、1人が責任をもって見ておく役目です。
選任が必要な職場:製造・取り扱い・譲渡提供のどれか
リスクアセスメント対象物を「製造する」「取り扱う(使う)」「譲渡提供する(売る・渡す)」のどれかにあたる事業場は、規模に関係なく選任が必要です。主に一般の消費者が家庭で使う製品だけを扱う場合は、対象から外れます。
いいえ → →Q3へ
いいえ → 選任が必要(取り扱う事業場)。講習の受講は推奨
いいえ → 選任の必要はなし
当てはめ例:3つの職場
この表の見方:どれも架空の例です。対象物かどうかは、受け取ったSDSで確かめます。
| 職場の例(架空) | 区分 | 選任 |
|---|---|---|
| 塗料を作っている工場 | 製造 | 必要。講習の修了者などから選ぶ |
| 溶剤の入った接着剤を使う家具工場 | 取り扱い | 必要。講習は推奨 |
| 工場とは別の場所で、SDSをつけて製品を売る営業所 | 譲渡提供 | 必要。表示と教育を管理 |
「小さな会社だから関係ない」は間違いです。化学物質管理者は、衛生管理者のような「50人以上」の条件がなく、1人でも労働者がいて対象物を使っていれば必要です。
ラベル表示・SDS交付の対象物質は、国の化学品の分類に合わせて段階的に増えています。2025年4月1日に641物質、2026年4月1日に779物質が加わり、2027年4月1日にも155物質が加わる予定です。その後も順次見直されます。「前に調べたときは対象外だった」製品も、新しいSDSを取り寄せて確かめ直しましょう。
- 労働安全衛生規則 第12条の5 第1項・第2項
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案等の概要(ラベル・SDS交付対象物質関係)」第183回安全衛生分科会 資料2-3(641物質・779物質・155物質の施行日)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

資格と講習:製造なら講習が必要、取り扱いなら推奨
この表の見方:左の事業場の区分で、必要な講習が変わります。時間は厚生労働省の資料によります。
| 事業場 | 選べる人 | 講習 |
|---|---|---|
| 製造する事業場 | 厚生労働大臣が定める講習を修了した人など | 12時間の講習を受けることが必要 |
| 取り扱う事業場・譲渡提供する事業場 | 仕事を担当するのに必要な能力があると認められる人 | 6時間の専門的講習の受講を推奨 |
講習は、各地の労働安全衛生の団体などが開いています。取り扱うだけの事業場では講習が必須ではありませんが、ラベルやSDSを読み、リスクアセスメントを進めるには基本の知識が必要です。かんたんに言うと、法律上は「推奨」でも、選ばれた人が困らないよう受けておくのが安心です。
- 労働安全衛生規則 第12条の5 第3項第2号
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省の資料「化学物質管理者を選任しましょう!」(化学物質管理マニュアル 解説テキスト)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

講習を受ける前後に、化学物質管理者の仕事をまとめて確かめたいときの1冊です。中央労働災害防止協会の『化学物質管理者選任時テキスト』は、副題のとおり、リスクアセスメント対象物の製造事業場と取扱い事業場の両方に向けた、化学物質管理者の講習用のテキストです。
化学物質管理者の7つの仕事
規則第12条の5第1項で、管理する事項が7つ決まっています。似たものをまとめると、次の4つのまとまりになります。
| まとまり | 中身 |
|---|---|
| 1. 知る | ラベルの表示、SDSの交付・受け取りなどの管理 |
| 2. 調べて決める | リスクアセスメントの実施と、その結果にもとづく対策の内容・実施の管理 |
| 3. 記録し、伝える | リスクアセスメントの結果などの記録の作成・保存・周知 |
| 4. 備える・教える | 化学物質による労働災害が起きたときの対応、働く人への教育 |
化学物質管理者が1人で全部の作業をするわけではありません。仕事は「技術的な事項の管理」、つまり、やるべきことがきちんと回っているかを見る役です。会社は、その仕事ができる権限を与えなければならないと決まっています(第12条の5第4項)。
- 労働安全衛生規則 第12条の5 第1項第1号〜第7号・第4項
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

保護具着用管理責任者との違い
化学物質管理者
- 化学物質の管理全体をまとめる
- 対象物を製造・取り扱い・譲渡提供する事業場で選任
- 製造事業場は講習の修了者などから選ぶ
保護具着用管理責任者
- マスク・手袋などの保護具の選び方・使い方・手入れを管理する
- リスクアセスメントの結果、保護具を使わせるときに選任
- 保護具に関する知識と経験がある人から選ぶ
どちらも、選任が必要になった日から14日以内に選び、氏名を掲示するなどして働く人に知らせます(規則第12条の5・第12条の6)。小さな職場では、同じ人が両方を兼ねることもあります。
- 労働安全衛生規則 第12条の6(保護具着用管理責任者の選任等)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

選任の手順と、掲示文のひな形
対象物を使っているか確かめる。受け取ったSDSを集め、リスクアセスメント対象物が入っているかを見ます。
人を決める。製造する事業場なら講習の修了者など、取り扱う事業場なら化学物質の扱いにくわしい人を選びます。
14日以内に選任する。選任が必要になった日から14日以内です。監督署への報告の決まりはありません。
権限を与え、氏名を知らせる。仕事ができる権限を与え、氏名を作業場の見やすい場所に掲示するなどして知らせます。
自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。
- 労働安全衛生規則 第12条の5 第3項〜第5項
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
まとめ:SDSを集めて、事業場ごとに1人決める
- 化学物質管理者は、職場の化学物質の管理をまとめる技術面の責任者です。2024年4月から義務になりました。
- リスクアセスメント対象物を製造・取り扱い・譲渡提供する事業場は、規模に関係なく選任が必要です。
- 製造する事業場は講習の修了者などから、取り扱う事業場は必要な能力がある人から選びます(講習は推奨)。
- 14日以内に選任し、権限を与え、氏名を掲示して知らせます。
つまり、まず手元のSDSを集めて対象物があるかを確かめ、事業場ごとに担当者を決めて掲示する、という順番で進めれば大丈夫です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


