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学科4.5時間と実技1.5時間。高さ2m以上で作業床を設けにくい所で、フルハーネス型を使う人が受けます。
フルハーネス特別教育は、高さ2m以上の箇所で作業床を設けることが難しいところで、フルハーネス型の墜落制止用器具(以前の呼び名は安全帯)を使って行う作業に就く人に、会社が行わなければならない教育です(労働安全衛生規則第36条第41号)。学科4.5時間と実技1.5時間の計6時間で、作業床の上での作業や、通行・昇降するだけの場合は対象外です。
先に読む所:対象になる作業・ならない作業/6時間の内容/会社が自分で行うとき
この記事では、フルハーネスの特別教育について、「誰に必要か」の線引きを中心に説明します。フルハーネスと胴ベルト型の違いや、6.75mの基準は、別の記事で説明しています。
フルハーネスと胴ベルト型の違い、6.75mの基準がわかる
- 労働安全衛生規則 第36条第41号
- 厚生労働省「墜落制止用器具に係る質疑応答集」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省「墜落制止用器具に係る質疑応答集」(令和元年8月。北海道労働局掲載)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
対象になる高さと作業・ならない作業
厚生労働省「墜落制止用器具に係る質疑応答集」の答えを整理しました。迷うときは所轄の労働基準監督署に相談しましょう。
| 場面 | 特別教育 | 理由 |
|---|---|---|
| 鉄骨の上、屋根の端など、作業床がない高さ2m以上の場所でフルハーネスを使う | 必要 | 作業床を設けるのが難しい場所でフルハーネスを使うため |
| 足場の作業床の上で、念のためフルハーネスをつける | 不要 | 作業床の上での作業のため |
| 高所作業車のバスケットの中で作業する | 通常は不要 | バスケットは通常、作業床があると認められる |
| 胴ベルト型を使って作業する | 不要 | 対象はフルハーネス型を使う作業だけ |
| フルハーネスをつけて、はしごを昇り降りするだけ | 不要 | 通行・昇降だけの場合は対象外 |
| フルハーネスをつけて、作業床のない場所で現場を巡視・点検する | 必要 | 巡視・点検は通行・昇降にあたらない |
高所作業車でも、作業床が真上にしか動かないもの以外では、高さ6.75mを超えるとフルハーネス型の使用が義務です。特別教育が不要でも、器具の使用義務とは別だと考えてください。
高さは、原則として地上を基準に測ります。屋上や広いコンクリート床の上など、そこからさらに落ちるおそれがない場合は、その面を基準にできます。

6時間の内容
安全衛生特別教育規程第24条によります。合計6時間です。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 学科 | 作業に関する知識(作業に使う設備の種類・点検、作業の方法) | 1時間 |
| 学科 | 墜落制止用器具(フルハーネス型)に関する知識(種類と構造、装着方法、ランヤードの取付けと選び方、点検・整備) | 2時間 |
| 学科 | 労働災害の防止に関する知識(墜落・落下物・感電の防止、保護帽、事故のときの措置) | 1時間 |
| 学科 | 関係法令 | 0.5時間 |
| 実技 | 墜落制止用器具の使用方法など(装着、取付け、点検・整備) | 1.5時間 |
省略できる人
経験による省略は、2019年2月1日(施行日)の時点の経験が条件です。これから新しく作業する人は、原則として6時間すべてを受けます。
| 経験・受講歴 | 省略できる科目 |
|---|---|
| 2019年2月1日の時点で、作業床のない高さ2m以上の場所でフルハーネス型を使う作業を6か月以上していた | 作業に関する知識、墜落制止用器具に関する知識、使用方法など(実技) |
| 2019年2月1日の時点で、同じ場所で胴ベルト型を使う作業を6か月以上していた | 作業に関する知識 |
| 足場の組立て等特別教育、またはロープ高所作業特別教育を受けた | 労働災害の防止に関する知識 |
- 労働安全衛生規則 第37条
- 厚生労働省「墜落制止用器具に係る質疑応答集」5(基発0622第1号)・安全衛生特別教育規程第24条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省「墜落制止用器具に係る質疑応答集」(令和元年8月。北海道労働局掲載)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

特別教育を受けた人が現場で使うフルハーネスは、新しい規格に合ったものを用意します。タジマの「ハーネスGS 蛇腹 ダブルL2セット」(A1GSMJR-WL2BK・Mサイズ)は、フルハーネスと、伸び縮みする蛇腹式のランヤード2本のセットです。販売ページの表示では、厚生労働省の「墜落制止用器具の規格」に適合し、ランヤードはタイプ1(腰の高さ以上にフックを掛けて使う種類)、使用可能質量は100kg以下、参考適合身長は165〜175cmです。体格に合うサイズを選び、特別教育を受けたうえで、使う前に点検してから正しく着けてください。
会社が自分で行うときの講師と記録
特別教育は会社の義務なので、外部の講習を使わず、会社が自分で行ってもかまいません。講師に資格の決まりはありませんが、科目について十分な知識と経験がある人でなければなりません。
当てはめ例
どれも架空の例です。
| 場面(架空) | 考え方 |
|---|---|
| 鉄骨工事の会社で、新しく入った社員に鉄骨上の作業をさせる | 6時間すべての特別教育が必要 |
| 足場の組立て等特別教育を受けた社員が、作業床のない場所でフルハーネスを使う | 労働災害の防止に関する知識(1時間)を省略し、残りを行う |
| 電気設備の点検で、高所作業車のバスケットから作業する | 通常は特別教育は不要。6.75m超ならフルハーネス型を使う |
| 倉庫の中2階の手すりのある床で棚の整理をする | 作業床の上なので不要 |
- □ フルハーネスを使う作業が、作業床のない高さ2m以上の場所か確かめた
- □ 6時間(省略する科目があればその理由)の計画を立てた
- □ 講師は、科目について十分な知識と経験がある人にした
- □ 受講者・科目・日時の記録を作り、3年間保存している
- □ 外部で受けた人は、修了証の写しで受講した科目を確かめた
義務(罰則あり) 特別教育をしないで対象の作業に就かせると、労働安全衛生法第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。修了証の様式は決まっておらず、会社が残すべきなのは受講者・科目などの記録です(規則第38条)。
- 労働安全衛生法 第59条第3項・第119条
- 労働安全衛生規則 第38条
- 厚生労働省「墜落制止用器具に係る質疑応答集」6・7
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省「墜落制止用器具に係る質疑応答集」(令和元年8月。北海道労働局掲載)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
まとめ:作業床のない2m以上でフルハーネスを使う人に、6時間
- 対象は、作業床を設けるのが難しい高さ2m以上の場所で、フルハーネス型を使う作業です。
- 作業床の上、高所作業車のバスケット、通行・昇降だけなら、通常は不要です。
- 学科4.5時間・実技1.5時間の計6時間で、経験による省略は2019年2月1日時点の経験が条件です。
- 会社が自分で行ってもよく、受講者と科目の記録を3年間保存します。
つまり、まず作業床があるかどうかで対象者を決め、対象の人には6時間の教育と記録の保存をそろえることが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


