職長安全衛生責任者教育とは|職長教育の対象・時間・内容を図解

職長安全衛生責任者教育とは何かを示す図解。作業者をまとめる職長と現場を描いたアイキャッチ 教育と資格
お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 職長安全衛生責任者教育と職長教育の違いがわからない
  • 新しく班長になった人に、職長教育を受けさせる必要があるのか知りたい
  • 何時間で、どんな内容なのか知りたい
この記事でわかること
  • 職長教育が必要な業種と、対象になる人
  • 12時間の中身
  • 建設業の「職長・安全衛生責任者教育」とおおむね5年ごとの教育
結論|まず30秒でわかる答え

職長教育は、建設業・製造業など決められた業種で、新しく職長(作業中の労働者を直接指導・監督する人)になる人に、会社が行う安全衛生教育です(労働安全衛生法第60条)。時間は合計12時間以上と決まっています(規則第40条)。建設業では、これに安全衛生責任者の内容を加えた「職長・安全衛生責任者教育」として受けることが多くあります。

「職長」は役職の名前ではなく、班長・リーダー・主任など、現場で作業する人を直接まとめる立場の人のことです。かんたんに言うと、人をまとめる立場になったら、まとめ方の安全教育を受ける、という決まりです。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

職長教育が必要な業種と、対象になる人

職長教育が必要なのは、施行令第19条で決まった業種だけです。

この表の見方:左が必要な業種、右は製造業のうち対象から外れるものです。表にない業種(小売業・運送業など)は、法律上の義務はありません。

必要な業種必要でない例
建設業—
製造業たばこ製造業、繊維工業(紡績業・染色整理業は必要)、衣服などの繊維製品製造業、紙加工品製造業(セロファン製造業は必要)
電気業・ガス業—
自動車整備業・機械修理業—

対象になるのは「新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者」です。ただし、作業主任者は除かれます(作業主任者には別の資格の決まりがあるため)。

判定フロー

Q1 会社(事業場)の業種は、建設業・製造業・電気業・ガス業・自動車整備業・機械修理業のどれかですか?
はい → →Q2へ
いいえ → 法律上の義務はなし。ただし、職長になる人への教育は災害を防ぐのに役立つ
▼
Q2 その人は、新しく現場の作業者を直接指導・監督する立場になりますか?(作業主任者を除く)
はい → 職長教育を行う
いいえ → 職長教育の対象ではない

当てはめ例

この表の見方:どれも架空の例です。業種は、事業場の主な仕事で判断します。

職場の例(架空)必要か
金属加工の工場で、新しく班長になる人必要(製造業)
自動車整備工場で、新しく工場長代理として整備士をまとめる人必要(自動車整備業)
スーパーで、新しく売り場のリーダーになる人法律上の義務はなし(小売業)
根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

職長教育が必要な建設業・製造業・電気業・ガス業・自動車整備業・機械修理業の6つの業種を示した図

職長教育の中身:5つの事項・合計12時間

規則第40条で、教える事項と時間が決まっています。合計すると12時間です。

この表の見方:右の時間は「これ以上行う」という最低の時間です。

教える事項主な中身時間
作業方法の決定と、労働者の配置作業手順の定め方、人の適正な配置2時間
指導と監督の方法指導・教育の方法、作業中の監督と指示の方法2.5時間
危険性・有害性の調査と対策リスクアセスメントの方法、結果にもとづく対策、設備・作業の改善4時間
異常時・災害時の対応異常が起きたとき、災害が起きたときの措置1.5時間
現場監督者としての災害防止活動設備と作業場所の保守管理、安全への関心を保ち、工夫を引き出す方法2時間
POINT

いちばん時間が長いのは、リスクアセスメント(危ないところを見つけて対策を決めること)の4時間です。つまり職長には、作業をまとめるだけでなく、危ないところを見つけて直す役目が期待されています。

その事項について十分な知識と技能がある人は、その部分の教育を省略できます(規則第40条第3項)。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

職長教育の5つの事項と時間を帯で示した図。合計12時間で、危険の調査と対策が4時間でいちばん長い

建設業の「職長・安全衛生責任者教育」と、5年ごとの教育

建設業の現場では、下請の会社の職長が「安全衛生責任者」(元請との連絡・調整の窓口)を兼ねることがよくあります。そのため、職長教育の12時間に安全衛生責任者の内容を加えた「職長・安全衛生責任者教育」として受けるのが一般的です。講習機関の案内では、合計14時間のものが多く見られます。

職長教育

  • 建設業・製造業など決められた業種
  • 新しく職長になる人
  • 法律(第60条)で決まった教育
  • 合計12時間以上

職長・安全衛生責任者教育

  • 主に建設業
  • 職長と安全衛生責任者を兼ねる人
  • 職長教育に、安全衛生責任者の内容を加えたもの
  • 講習機関の案内では14時間が多い

おおむね5年ごとの能力向上教育(建設業)

厚生労働省は、建設業の職長と安全衛生責任者について、能力向上のための教育をおおむね5年ごとに受けさせるよう示しています(平成29年2月の通達)。法律の義務ではなく通達による取り組みですが、一度受けて終わりではなく、知識を新しくしていくことが求められています。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

職長教育と、建設業で一般的な職長・安全衛生責任者教育の違いと、おおむね5年ごとの能力向上教育を示した図

義務の強さと、よくある間違い

義務(罰則なし) 職長教育は、法律上の義務です。罰則の条文(第119条・第120条)には挙げられていませんが、義務であることは変わりません。労働基準監督署の調査では、教育をしたかどうかを確かめられることがあります。

よくある間違い正しくは
職長教育は資格なので、講習機関で取るもの会社が行う教育。講習機関に頼んでもよいが、義務は会社にある
班長は役職名が「職長」ではないので不要名前ではなく、作業者を直接指導・監督するかどうかで決まる
作業主任者も職長教育が必要作業主任者は第60条の対象から除かれている
どの業種でも職長教育が必要必要なのは施行令第19条の業種だけ
ひな形|コピーして使えます
職長教育の受講者リスト(会社用)
事業場名:[       ] 業種:[    ](施行令第19条の業種か:はい/いいえ) | 氏名 | 職長になった日 | 受講した教育(職長教育/職長・安全衛生責任者教育) | 受講日 | 実施した機関 | 次の能力向上教育の目安 | | [  ] | [  ] | [  ] | [  ] | [  ] | [受講から5年後] |

自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問

Q. 職長安全衛生責任者教育とは何ですか?

A. 職長教育の12時間に、安全衛生責任者の内容を加えた教育です。主に建設業の職長が受けます。

Q. 職長教育は何時間ですか?

A. 規則第40条で、5つの事項を合計12時間以上行うと決まっています。省略できる場合もあります。

Q. 職長教育が必要な業種は?

A. 建設業、製造業(一部を除く)、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業の6つです。小売業などは対象外です。

Q. 職長教育を受けないと罰則はありますか?

A. 罰則の条文には挙げられていませんが、法律上の義務です。監督署の調査で確かめられることがあります。

Q. 職長教育は何年ごとに受け直しますか?

A. 法律の決まりはありません。建設業では、おおむね5年ごとの能力向上教育が通達で示されています。

まとめ:業種を確かめて、職長になる前に12時間

POINT
  • 職長教育は、建設業・製造業など決められた業種で、新しく職長になる人に会社が行う教育です(第60条)。
  • 中身は5つの事項で、合計12時間以上です(規則第40条)。
  • 建設業では、安全衛生責任者の内容を加えた「職長・安全衛生責任者教育」が一般的です。
  • 建設業では、おおむね5年ごとの能力向上教育も通達で示されています。

つまり、まず自社の業種が対象かを確かめ、班長やリーダーになる人が決まったら、現場に立つ前に受けさせるのが基本です。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。

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職長教育がわかったら、建設現場の「安全衛生責任者」など、似た名前の役職の違いも確かめておきましょう。

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