危険予知トレーニング(KYT)のやり方|4ラウンド法の進め方と例

危険予知トレーニング(KYT)のやり方を示す図解。チームで話し合い指差し唱和をする作業者を描いたアイキャッチ 現場の安全活動

※この記事にはプロモーションが含まれています。

お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 危険予知トレーニング(KYT)をやるよう言われたが、進め方がわからない
  • 4ラウンド法の、各ラウンドで何を話せばいいのか知りたい
  • 朝礼や安全会議ですぐ使える例とシートがほしい
この記事でわかること
  • KYTの基本と、準備するもの
  • 4ラウンド法の進め方(1R〜4R)
  • 脚立作業を例にした実演と、コピーして使えるKYシート
結論|まず30秒でわかる答え

危険予知トレーニング(KYT)は、作業にひそむ危険を見つけて、対策を決める訓練です。5〜6人のチームで、イラストを見ながら「どんな危険がひそんでいるか」「これが危険のポイント」「あなたならどうする」「私達はこうする」の4つのラウンドで話し合い、最後にチームの行動目標を指差し唱和(指で差して声に出すこと)で確認します。

KYTは、危険の「K」、予知の「Y」、訓練(トレーニング)の「T」をとった言葉です。法律で決まった義務ではありませんが、多くの職場で、朝礼や安全会議の場で行われています。KYTで出た対策を職場全体に広げるには、毎月開く安全委員会・衛生委員会の議題にする方法もあります。

根拠

情報の確認時点:2026年10月。

KYTとは:危険を見つけて解決する力をつける訓練

厚生労働省の職場のあんぜんサイトでは、危険予知訓練を「作業や職場にひそむ危険性や有害性等の危険要因を発見し解決する能力を高める手法」と説明しています。

もともとは住友金属工業で生まれた手法で、中央労働災害防止協会が「問題解決4ラウンド法」と結びつけ、さらに旧国鉄の「指差し呼称」を組み合わせた「KYT4ラウンド法」が標準とされています。

たとえると

スポーツの「作戦会議」に似ています。試合の前に、相手のどこが危ないかをみんなで出し合い、一番大事な点にしぼって、チームの作戦を決めて声を合わせます。

準備するもの

準備中身
イラストシート作業の場面を描いた絵。危険が隠れているもの
模造紙とペン発言を書く紙と、赤・黒のマジック
チーム一人ひとりが話しやすい5〜6人
役割リーダー(司会・進行)と書記を決める
根拠

情報の確認時点:2026年10月。

おすすめの本

イラストシートを自分で用意するのが大変なときは、作業場面の絵がまとまった本を使う方法もあります。中央労働災害防止協会 編『すぐに使えるKYTイラストシート集 1 みんなでやろう!危険予知訓練』は、KYT基礎4ラウンド法の進め方の解説と、原料投入・弁操作・塗布作業など20例のイラストシートを収めた本です(販売ページの内容紹介)。

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4ラウンド法の進め方

KYT基礎4ラウンド法は、次の4つのラウンドで進めます。ラウンドごとに、話す形が決まっているのがポイントです。

この表の見方:左から順に「ラウンドの名前 → 何を話すか → どう言うか」です。

ラウンド話し合うこと話す形・印
1R どんな危険がひそんでいるか絵の中の危険を見つけて出し合う「〜なので〜して〜になる」と言う
2R これが危険のポイント重要な危険にしぼる○印をつけ、合意で1〜2項目に◎印。「〜なので〜になる ヨシ!」と唱和
3R あなたならどうする◎の危険を防ぐ対策を出す「〜する」と具体的に。1項目に3つくらい
4R 私達はこうする対策をしぼって、行動目標を決める※印の重点実施項目と、チーム行動目標を決めて唱和
POINT

1Rで「危ない」とだけ言うと、2R以降が進みません。「〜なので(原因)〜して(行動)〜になる(けがの型)」の形で言うと、対策を考えやすくなります。

根拠

情報の確認時点:2026年10月。

危険予知トレーニング(KYT)の基礎4ラウンド法の流れの図。危険を見つける、しぼる、対策を出す、目標を決める

実演:脚立で棚の荷物を取る作業

次の場面で、4ラウンドを通してみます(架空の例です)。

POINT 場面:倉庫で、作業者が脚立に上り、棚の上段にある段ボール箱を両手で下ろそうとしている。脚立は棚から少し離れて立っている。
危険予知トレーニングの例題イラスト。倉庫で脚立に上り両手で段ボール箱を下ろそうとしている作業者の場面

1R どんな危険がひそんでいるか

  • 脚立が棚から離れているので、体を伸ばして箱を取ろうとして、バランスをくずして落ちる
  • 両手で箱を持っているので、脚立につかまれず、足を踏み外して落ちる
  • 箱が重いので、持ち上げた瞬間に体が後ろに傾いて、脚立ごと倒れる
  • 箱の中身が見えないので、取り出したときに中の物が落ちて、足に当たる

2R これが危険のポイント

◎ 脚立が棚から離れているので、体を伸ばして箱を取ろうとして、バランスをくずして落ちる
→ 全員で「脚立が離れているので、バランスをくずして落ちる ヨシ!」

3R あなたならどうする

  • 脚立を棚の正面に、体を伸ばさずに届く位置まで寄せる
  • 重い箱は、2人で受け渡しをする
  • 脚立の開き止めをかけたことを確かめてから上る

4R 私達はこうする

※ 重点実施項目:脚立を棚の正面に寄せてから上る
チーム行動目標:「脚立に上るときは、棚の正面に寄せてから上ろう ヨシ!」

つまり、たくさんの危険から1つにしぼり、その日に必ずやる行動を1つ決めて声に出す、という流れです。

この記事のイラスト(例題の場面)は、社内の研修・朝礼・KYT・掲示に自由にお使いいただけます(印刷・社内での配布・書き換えもOK)。ほかのサイトやSNSへの転載、社外への配布、販売、有料の教材への組み込みはご遠慮ください。くわしくは免責事項をご覧ください。

コピーして使えるKYシート

ひな形|コピーして使えます
KYシート(基礎4ラウンド法)
日付:[  年  月  日] チーム:[    ] リーダー:[    ] 書記:[    ] 作業・場面:[                ] 1R どんな危険がひそんでいるか(〜なので〜して〜になる)  1. [                ]  2. [                ]  3. [                ] 2R これが危険のポイント(◎をつけた項目)  ◎ [                ]  唱和:「[    ]なので[    ]になる ヨシ!」 3R あなたならどうする(〜する)  1. [        ] 2. [        ] 3. [        ] 4R 私達はこうする  ※ 重点実施項目:[            ]  チーム行動目標:「[   ]するときは、[   ]を[   ]して[   ]しよう ヨシ!」

自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。

よくある失敗と直し方

よくある失敗直し方
1Rで「危ない」「滑る」だけで終わる「〜なので〜して〜になる」の形で言い直してもらう
2Rで危険のポイントが5つも6つも残る合意で1〜2項目にしぼる。全部を守ろうとすると、どれも守られない
3Rの対策が「気をつける」「注意する」「〜を〜する」と、目で見て確かめられる行動にする
毎回同じイラストで、マンネリになる自分たちの職場の写真や、実際のヒヤリハットの場面を使う

KYTは法律で決まった義務ではありませんが、職長教育(労働安全衛生法第60条)で学ぶ「危険性又は有害性等の調査」と同じく、危険を見つけて対策を決める力を育てる取り組みです。

よくある質問

Q. 危険予知トレーニングとは何ですか?

A. 作業にひそむ危険を見つけて、対策と行動目標を決める訓練です。KYTとも呼ばれ、4ラウンド法が標準です。

Q. KYTの4ラウンドとは何ですか?

A. どんな危険がひそんでいるか、これが危険のポイント、あなたならどうする、私達はこうする、の4つです。

Q. KYTは何人でやりますか?

A. 一人ひとりが意見を出しやすい5〜6人が標準です。リーダーと書記を決めて進めます。

Q. KYTは法律で義務ですか?

A. 法律で決まった義務ではありません。ただし、危険を見つけて対策を決める力を育てるため、多くの職場で行われています。

Q. KYTの1ラウンドではどう発言しますか?

A. 「〜なので〜して〜になる」の形で、原因と行動と、けがの型をセットにして発言します。

まとめ:見つける・しぼる・決める・声に出す

POINT
  • KYTは、作業にひそむ危険を見つけて対策を決める訓練です。5〜6人のチームで行います。
  • 1R「どんな危険がひそんでいるか」→2R「これが危険のポイント」→3R「あなたならどうする」→4R「私達はこうする」の順です。
  • 1Rは「〜なので〜して〜になる」、3Rは「〜する」の形で発言します。
  • 最後は、チーム行動目標を指差し唱和で確かめます。

つまり、たくさんの危険から1つにしぼり、その日に必ずやる行動を1つ決めて声に出すことが、KYTのいちばん大事なところです。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。

次に読むべき記事

KYTのやり方がわかったら、安全活動の土台になる労働安全衛生法の全体像も確かめておきましょう。

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