※この記事にはプロモーションが含まれています。
- 危険予知トレーニング(KYT)をやるよう言われたが、進め方がわからない
- 4ラウンド法の、各ラウンドで何を話せばいいのか知りたい
- 朝礼や安全会議ですぐ使える例とシートがほしい
- KYTの基本と、準備するもの
- 4ラウンド法の進め方(1R〜4R)
- 脚立作業を例にした実演と、コピーして使えるKYシート
危険予知トレーニング(KYT)は、作業にひそむ危険を見つけて、対策を決める訓練です。5〜6人のチームで、イラストを見ながら「どんな危険がひそんでいるか」「これが危険のポイント」「あなたならどうする」「私達はこうする」の4つのラウンドで話し合い、最後にチームの行動目標を指差し唱和(指で差して声に出すこと)で確認します。
KYTは、危険の「K」、予知の「Y」、訓練(トレーニング)の「T」をとった言葉です。法律で決まった義務ではありませんが、多くの職場で、朝礼や安全会議の場で行われています。KYTで出た対策を職場全体に広げるには、毎月開く安全委員会・衛生委員会の議題にする方法もあります。
KYTとは:危険を見つけて解決する力をつける訓練
厚生労働省の職場のあんぜんサイトでは、危険予知訓練を「作業や職場にひそむ危険性や有害性等の危険要因を発見し解決する能力を高める手法」と説明しています。
もともとは住友金属工業で生まれた手法で、中央労働災害防止協会が「問題解決4ラウンド法」と結びつけ、さらに旧国鉄の「指差し呼称」を組み合わせた「KYT4ラウンド法」が標準とされています。
スポーツの「作戦会議」に似ています。試合の前に、相手のどこが危ないかをみんなで出し合い、一番大事な点にしぼって、チームの作戦を決めて声を合わせます。
準備するもの
| 準備 | 中身 |
|---|---|
| イラストシート | 作業の場面を描いた絵。危険が隠れているもの |
| 模造紙とペン | 発言を書く紙と、赤・黒のマジック |
| チーム | 一人ひとりが話しやすい5〜6人 |
| 役割 | リーダー(司会・進行)と書記を決める |
イラストシートを自分で用意するのが大変なときは、作業場面の絵がまとまった本を使う方法もあります。中央労働災害防止協会 編『すぐに使えるKYTイラストシート集 1 みんなでやろう!危険予知訓練』は、KYT基礎4ラウンド法の進め方の解説と、原料投入・弁操作・塗布作業など20例のイラストシートを収めた本です(販売ページの内容紹介)。
4ラウンド法の進め方
KYT基礎4ラウンド法は、次の4つのラウンドで進めます。ラウンドごとに、話す形が決まっているのがポイントです。
この表の見方:左から順に「ラウンドの名前 → 何を話すか → どう言うか」です。
| ラウンド | 話し合うこと | 話す形・印 |
|---|---|---|
| 1R どんな危険がひそんでいるか | 絵の中の危険を見つけて出し合う | 「〜なので〜して〜になる」と言う |
| 2R これが危険のポイント | 重要な危険にしぼる | ○印をつけ、合意で1〜2項目に◎印。「〜なので〜になる ヨシ!」と唱和 |
| 3R あなたならどうする | ◎の危険を防ぐ対策を出す | 「〜する」と具体的に。1項目に3つくらい |
| 4R 私達はこうする | 対策をしぼって、行動目標を決める | ※印の重点実施項目と、チーム行動目標を決めて唱和 |
1Rで「危ない」とだけ言うと、2R以降が進みません。「〜なので(原因)〜して(行動)〜になる(けがの型)」の形で言うと、対策を考えやすくなります。

実演:脚立で棚の荷物を取る作業
次の場面で、4ラウンドを通してみます(架空の例です)。

1R どんな危険がひそんでいるか
- 脚立が棚から離れているので、体を伸ばして箱を取ろうとして、バランスをくずして落ちる
- 両手で箱を持っているので、脚立につかまれず、足を踏み外して落ちる
- 箱が重いので、持ち上げた瞬間に体が後ろに傾いて、脚立ごと倒れる
- 箱の中身が見えないので、取り出したときに中の物が落ちて、足に当たる
2R これが危険のポイント
◎ 脚立が棚から離れているので、体を伸ばして箱を取ろうとして、バランスをくずして落ちる
→ 全員で「脚立が離れているので、バランスをくずして落ちる ヨシ!」
3R あなたならどうする
- 脚立を棚の正面に、体を伸ばさずに届く位置まで寄せる
- 重い箱は、2人で受け渡しをする
- 脚立の開き止めをかけたことを確かめてから上る
4R 私達はこうする
※ 重点実施項目:脚立を棚の正面に寄せてから上る
チーム行動目標:「脚立に上るときは、棚の正面に寄せてから上ろう ヨシ!」
つまり、たくさんの危険から1つにしぼり、その日に必ずやる行動を1つ決めて声に出す、という流れです。
この記事のイラスト(例題の場面)は、社内の研修・朝礼・KYT・掲示に自由にお使いいただけます(印刷・社内での配布・書き換えもOK)。ほかのサイトやSNSへの転載、社外への配布、販売、有料の教材への組み込みはご遠慮ください。くわしくは免責事項をご覧ください。
コピーして使えるKYシート
自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | 直し方 |
|---|---|
| 1Rで「危ない」「滑る」だけで終わる | 「〜なので〜して〜になる」の形で言い直してもらう |
| 2Rで危険のポイントが5つも6つも残る | 合意で1〜2項目にしぼる。全部を守ろうとすると、どれも守られない |
| 3Rの対策が「気をつける」「注意する」 | 「〜を〜する」と、目で見て確かめられる行動にする |
| 毎回同じイラストで、マンネリになる | 自分たちの職場の写真や、実際のヒヤリハットの場面を使う |
KYTは法律で決まった義務ではありませんが、職長教育(労働安全衛生法第60条)で学ぶ「危険性又は有害性等の調査」と同じく、危険を見つけて対策を決める力を育てる取り組みです。
よくある質問
まとめ:見つける・しぼる・決める・声に出す
- KYTは、作業にひそむ危険を見つけて対策を決める訓練です。5〜6人のチームで行います。
- 1R「どんな危険がひそんでいるか」→2R「これが危険のポイント」→3R「あなたならどうする」→4R「私達はこうする」の順です。
- 1Rは「〜なので〜して〜になる」、3Rは「〜する」の形で発言します。
- 最後は、チーム行動目標を指差し唱和で確かめます。
つまり、たくさんの危険から1つにしぼり、その日に必ずやる行動を1つ決めて声に出すことが、KYTのいちばん大事なところです。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


