リスクアセスメントとは|進め方5ステップと見積もりの例

リスクアセスメントとは何かを示す図解。機械の危険を調べる担当者と色分けの表を描いたアイキャッチ 現場の安全活動
お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • リスクアセスメントとは何か、KYTやヒヤリハットと何が違うのかわからない
  • やらないといけない法律の決まりなのか知りたい
  • 実際にどう進めて、どう書けばいいのか例がほしい
この記事でわかること
  • リスクアセスメントとは何か、法律上の位置づけ
  • 進め方の5ステップと、見積もり表の例
  • 対策の優先順位と、コピーして使える表
結論|まず30秒でわかる答え

リスクアセスメントは、職場の危険を見つけ出し、「けがの重さ」と「起こりやすさ」でリスクを見積もり、大きいものから対策していく手法です。製造業・建設業などでは労働安全衛生法第28条の2で努力義務、化学物質(リスクアセスメント対象物)については第57条の3で義務になっています。

「リスク」は、けがや病気がどれくらい重く、どれくらい起こりやすいかを合わせたものです。かんたんに言うと、「危ないところに順番をつけて、大きい順に手を打つ」ための方法です。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

リスクアセスメントとは:KYT・ヒヤリハットとの違い

この表の見方:3つは役割が違い、組み合わせて使います。ヒヤリハットで見つけた危険を、リスクアセスメントで見積もって対策する、という流れが基本です。

リスクアセスメントKYT(危険予知訓練)ヒヤリハット
目的危険に順番をつけ、設備や作業方法を改めるその日の作業の危険に気づく力をつける起きかけたことを集めて、危険を見つける
だれが管理者と現場の人で、時間をかけて作業する人のチームで、短く気づいた人が報告する
いつ設備や作業を新しくする・変えるとき毎日の朝礼・作業前ヒヤリとしたとき

法律上の位置づけ

対象強さ根拠
化学物質(リスクアセスメント対象物)義務法第57条の3
機械・作業など(製造業・建設業・運送業・林業・鉱業・清掃業・電気業など)努力義務法第28条の2、規則第24条の11
上の業種以外の機械・作業法律の決まりはない(行うことが望ましい)—
根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

ヒヤリハット・リスクアセスメント・KYTの役割の違いを示した図

リスクアセスメントの進め方:5つのステップ

厚生労働省の指針では、次の順番で進めます。

STEP 1

危険を見つける。作業ごとに、「何が・どうなって・どんなけがになるか」を書き出します(危険性又は有害性の特定)。

STEP 2

リスクを見積もる。けがの重さと起こりやすさを組み合わせて、リスクの大きさを決めます。

STEP 3

優先順位を決め、対策を考える。リスクの大きいものから、対策を考えます。

STEP 4

対策を実施する。決めた対策を実行し、リスクが下がったかを確かめます。

STEP 5

記録して見直す。結果を記録し、設備や作業が変わったときに見直します。

実施する時期は、建物や設備を新しくする・変えるとき、原材料や作業方法を新しくする・変えるときなどです(規則第24条の11)。つまり、「何かを変えるとき」が、リスクアセスメントのタイミングです。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

リスクアセスメントの5ステップの図。見つける、見積もる、順番と対策、実施、記録

見積もりの例:3×3の表

見積もりの方法は指針では決められておらず、会社ごとに決めてかまいません。よく使われるのは、けがの重さと起こりやすさを点数にして組み合わせる方法です。次は一例です。

この表の見方:重さ×起こりやすさ=リスクの点数です。点数の区切りは会社で決めます(例:6以上はすぐ対策)。

起こりやすさ:ほとんどない(1)ときどき(2)よくある(3)
重さ:軽いけが(1)1(低い)2(低い)3(中くらい)
休業するけが(2)2(低い)4(中くらい)6(高い)
死亡・後遺障害(3)3(中くらい)6(高い)9(とても高い)

記入例:プレス機の金型を交換する作業(架空の例)

項目記入例
危険(何が・どうなって)金型の交換中に、別の人がスイッチを入れ、スライドが下りて手がはさまれる
重さ・起こりやすさ重さ3(指の切断)×起こりやすさ2(ときどき)=6(高い)
対策交換の前に電源を切って錠をかけ、表示板をつける。安全ブロックを入れる
対策後重さ3×起こりやすさ1=3(中くらい)
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リスクアセスメントの見積もり表の例。けがの重さと起こりやすさの掛け算で1から9の点数を出す

対策の優先順位

指針では、対策を次の順番で考えるよう示されています。上の対策ほど、人の注意にたよらずにリスクを下げられます。

順番対策例
1危険そのものをなくす・小さくする(本質的対策)危ない作業をやめる、危険の少ない材料に替える
2設備で守る(工学的対策)ガードやインターロック、局所排気装置をつける
3ルールと教育で守る(管理的対策)作業手順書、立入禁止、教育・訓練
4保護具で守る保護めがね、手袋、マスク(1〜3で残った危険に対して)
注意|ここで間違えやすい

いきなり「保護具を着ける」「気をつける」で終わらせるのは、よくある失敗です。まず1と2でできることがないかを考えましょう。

ひな形|コピーして使えます
リスクアセスメント表
職場・作業名:[     ] 実施日:[  年  月  日] 実施者:[    ] | No | 危険(何が・どうなって・どんなけが) | 重さ | 起こりやすさ | 点数 | 対策(1本質→2設備→3ルール→4保護具) | 対策後の点数 | 担当・期限 | | 1 | [  ] | [ ] | [ ] | [ ] | [  ] | [ ] | [  ] | | 2 | [  ] | [ ] | [ ] | [ ] | [  ] | [ ] | [  ] |

自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

リスクアセスメントの対策の優先順位の図。危険をなくす、設備で守る、ルールで守る、保護具の順

よくある質問

Q. リスクアセスメントとは何ですか?

A. 職場の危険を見つけ、けがの重さと起こりやすさでリスクを見積もり、大きいものから対策していく手法です。

Q. リスクアセスメントは義務ですか?

A. 化学物質は義務です。製造業・建設業などの機械や作業については努力義務とされています。

Q. リスクアセスメントはいつ行いますか?

A. 設備・原材料・作業方法を新しくしたり変えたりするときなど、危険が変わるおそれがあるときに行います。

Q. リスクアセスメントとKYTの違いは?

A. リスクアセスメントは危険に順番をつけて設備や方法を改める手法、KYTは作業前に危険に気づく力をつける訓練です。

Q. 対策はどの順番で考えますか?

A. 危険をなくす、設備で守る、ルールと教育で守る、保護具で守る、の順番です。保護具は最後の手段です。

まとめ:見つけて、見積もって、大きい順に対策

POINT
  • リスクアセスメントは、危険を見つけてリスクを見積もり、大きい順に対策する手法です。
  • 化学物質は義務、製造業・建設業などの機械や作業は努力義務です。
  • 進め方は、見つける→見積もる→優先順位と対策→実施→記録の5ステップです。
  • 対策は、なくす→設備→ルール→保護具の順に考えます。

つまり、設備や作業を変えるときに、この表で危険を書き出して点数をつけ、点数の高いものから設備で守る対策を考えるのが基本です。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。

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