つり上げ荷重1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリックの玉掛けは技能講習、1トン未満は会社が行う特別教育で足ります。
玉掛け技能講習は、つり上げ荷重1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリックで玉掛けをする人が修了しなければならない講習です(労働安全衛生法第61条、施行令第20条第16号)。講習は登録された講習機関で受け、学科と実技の修了試験に合格すると修了証がもらえます。1トン未満の玉掛けは、会社が行う特別教育で足ります。
先に読む所:講習の日数と学ぶこと/1トン未満は特別教育/修了証の扱い
玉掛けとは、クレーンでつる荷に、ワイヤロープやベルトスリングを掛けて、フックに掛けたり外したりする作業です。かんたんに言うと、「クレーンに荷を安全に預ける係」です。掛け方を間違えると荷が落ちたり傾いたりするため、資格が決められています。
- 労働安全衛生法 第61条
- 労働安全衛生法施行令 第20条第16号
- クレーン等安全規則 第221条・第222条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」
- e-Gov法令検索「クレーン等安全規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
1トン以上は技能講習、1トン未満は特別教育
つり上げる荷の重さではなく、クレーンなどの「つり上げ荷重」(つれる重さの上限)で決まります。1トン未満の荷でも、2.8トンのクレーンで玉掛けするなら技能講習が必要です。
| クレーンなどのつり上げ荷重 | 玉掛けに必要な資格 | 行うところ |
|---|---|---|
| 1トン以上 | 玉掛け技能講習の修了 | 登録を受けた講習機関 |
| 1トン未満 | 玉掛けの特別教育 | 会社(外部の講習に頼んでもよい) |
当てはめ例
どれも架空の例です。クレーンの運転の資格は、玉掛けとは別に必要です。
| 職場の例(架空) | 必要な資格 |
|---|---|
| 工場の天井クレーン(つり上げ荷重2.8トン)で部品をつる | 玉掛け技能講習 |
| 建設現場で、移動式クレーン(4.9トン)に鉄筋の束を掛ける | 玉掛け技能講習 |
| 倉庫のホイスト(つり上げ荷重0.5トン)で箱をつる | 玉掛けの特別教育 |
1トン未満の玉掛けで必要な特別教育の決まりがわかる
- 労働安全衛生法施行令 第20条第16号
- クレーン等安全規則 第221条・第222条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」
- e-Gov法令検索「クレーン等安全規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

講習の日数と、学ぶこと
講習の日数は、ほかの資格を持っているかどうかで変わります。たとえば、ある講習機関では次のように開いています。
日数・受講料・免除の条件は講習機関ごとに案内されています。申し込む講習機関で確かめてください。
| 受ける人 | 日数の例 |
|---|---|
| 資格のない人 | 学科2日・実技1日の計3日間 |
| クレーンの運転などの資格がある人 | 学科1日・実技1日の計2日間(一部の科目が免除) |
科目の名前は、1トン未満の特別教育の科目(クレーン等安全規則第222条)と同じ並びです。技能講習は、これを修了試験つきで深く学びます。
| 区分 | 学ぶこと |
|---|---|
| 学科 | クレーンなどの知識、玉掛けに必要な力学(重さ・重心・つり角度など)、玉掛けの方法、関係法令 |
| 実技 | 実際の玉掛けの作業、クレーンの運転のための合図 |
講習機関を選んで申し込む。都道府県労働局に登録された講習機関に申し込みます。免除を受けるなら、持っている資格の証明を添えます。
学科と実技を受ける。決められた時間をすべて受けます。遅刻や早退をすると、修了できないことがあります。
修了試験に合格する。学科と実技の試験に合格すると、玉掛け技能講習修了証が交付されます。
- クレーン等安全規則 第222条(特別教育の科目)
- 厚生労働省掲載資料(講習の日数の例)
- e-Gov法令検索「クレーン等安全規則」
- 厚生労働省掲載資料(神奈川労務安全衛生協会の講習の案内)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

修了証の扱いと、会社が確かめること
玉掛けをするときは、修了証を持ち歩かなければなりません(法第61条第3項)。会社は、作業に就かせる前に修了証の原本を見て、写しを保管しておきましょう。
- □ 玉掛けをする人の修了証を確認し、写しを保管している
- □ 作業の前に、ワイヤロープ・スリング・フックなどを点検している
- □ 素線が10%以上切れている、直径が7%を超えて減った、キンク・形くずれ・腐食があるワイヤロープは使わない
- □ クレーンの運転者との合図を決め、合図をする人を指名している
- □ つり荷の下に人を入れないようにしている
資格のない人に1トン以上の玉掛けをさせると、会社は労働安全衛生法第119条(6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の対象になります。資格のない本人が玉掛けをした場合も、第120条(50万円以下の罰金)の対象です。
義務(罰則あり) 玉掛けの用具は、その日の作業を始める前に点検し、異常があればすぐ補修します(クレーン等安全規則第220条)。
- 労働安全衛生法 第61条第3項・第119条・第120条
- クレーン等安全規則 第25条・第213条・第215条・第220条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「クレーン等安全規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問
まとめ:1トン以上は技能講習。修了証を持って作業する
- 玉掛け技能講習は、つり上げ荷重1トン以上のクレーンなどで玉掛けをする人に必要です。
- 1トン未満の玉掛けは、会社が行う特別教育で足ります。
- 講習は資格がなければ3日、クレーンの資格があれば2日とする機関があります。
- 修了証を携帯し、作業前に用具を点検し、合図を決めてから作業します。
つまり、まずクレーンのつり上げ荷重を確かめ、1トン以上なら作業の前に技能講習を修了してもらうことが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


