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有機溶剤作業主任者は、屋内作業場やタンクの内部などで有機溶剤を使う業務で、作業の方法を決めて作業者を指揮する人です(有機溶剤中毒予防規則第19条)。有機溶剤作業主任者技能講習を修了した人から選任し、作業の指揮、換気装置の毎月の点検、保護具の使用状況の監視などを行わせます。
知りたいことから:技能講習の受け方と会社がそろえるもの/選任が必要な作業(判定フロー)/4つの仕事
有機溶剤は、シンナー・トルエン・キシレン・アセトンなど、ほかの物を溶かす性質のある化学物質です。蒸気を吸うと、頭痛やめまい、長く吸い続けると神経や肝臓の障害を起こすことがあります。その作業を、資格を持つ人が現場で管理するのが有機溶剤作業主任者です。
- 労働安全衛生法施行令 第6条第22号
- 有機溶剤中毒予防規則 第1条・第19条・第19条の2
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
選任が必要な作業
次の3つにすべてあてはまると、有機溶剤作業主任者の選任が必要です。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 使う物 | 有機溶剤、または有機溶剤を重さで5%を超えて含む物(塗料・接着剤・インキ・洗浄剤など) |
| 場所 | 屋内作業場、またはタンク・ピット・マンホール・船や車両の内部など、通風が不十分な場所 |
| 業務 | 塗装、印刷、接着剤の塗布、洗浄・払拭(ふき取り)、乾燥、有機溶剤の製造など |
いいえ → 有機則の作業主任者は不要(屋外で風通しがよい場合など)
いいえ → →Q3へ
いいえ → 有機溶剤作業主任者を選任する
許容消費量は、作業場の広さ(気積。最大150㎥)に、有機溶剤の種類ごとの係数(第1種は15分の1、第2種は5分の2、第3種は2分の3)をかけた量(グラム)です。たとえば気積150㎥で第2種を使うなら、1時間に60グラムまでです。少しでも超えるなら、選任が必要になります。なお、この量の例外が使えるのは塗装・印刷・接着・洗浄などの業務だけで、有機溶剤の製造や、有機溶剤を入れたことのあるタンクの内部の業務には使えません。
当てはめ例
どれも架空の例です。迷うときは、所轄の労働基準監督署に相談しましょう。
| 職場の例(架空) | 選任は必要か |
|---|---|
| 屋内の塗装ブースで、毎日シンナーで薄めた塗料を吹き付ける | 必要 |
| 屋内の工場で、部品の油をアセトンでふき取る作業を毎日行う | 必要(量が許容消費量を超えるとき) |
| 会社の研究室で、少量の有機溶剤を試験に使う | 不要(試験研究の業務) |
有機溶剤のほかに作業主任者が必要な作業を一覧で確かめられる
- 有機溶剤中毒予防規則 第1条第1項第6号・第2項・第2条・第19条第1項
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

有機溶剤作業主任者の4つの仕事
有機溶剤中毒予防規則第19条の2の4つです。
| 仕事 | 中身 |
|---|---|
| ① 作業の方法を決めて指揮する | 作業者が有機溶剤で汚れたり、蒸気を吸ったりしないやり方を決め、指揮する |
| ② 換気装置を毎月点検する | 局所排気装置・プッシュプル型換気装置・全体換気装置を、1か月を超えない期間ごとに点検する |
| ③ 保護具の使い方を見る | 防毒マスクや手袋などを正しく使っているか監視する |
| ④ タンクの中の作業を確かめる | タンクの内部で作業するときは、決められた措置(換気・溶剤の排出など)がとられているか確かめる |
とくに大事なのが②の毎月の点検です。局所排気装置のフードの吸い込みが弱くなっていると、作業者は気づかないまま蒸気を吸ってしまいます。点検の日と結果を記録に残しておきましょう。
義務(罰則あり) 作業主任者を選任しないと、労働安全衛生法第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。選任したら、氏名と職務を作業場に掲示します(労働安全衛生規則第18条)。
- 有機溶剤中毒予防規則 第19条の2
- 労働安全衛生規則 第18条
- 労働安全衛生法 第119条
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

有機溶剤作業主任者技能講習と、会社がそろえるもの
有機溶剤作業主任者になるには、都道府県労働局に登録した講習機関の有機溶剤作業主任者技能講習を受け、修了試験に合格します。講習の日数・受講料・申込みの方法は講習機関ごとに違うので、申し込む機関で確かめてください。
この講習の修了者は、エチルベンゼンなど「特別有機溶剤」を使う作業の作業主任者(特定化学物質作業主任者(特別有機溶剤等関係))にも選べます(労働安全衛生規則別表第1)。塗装の現場では両方を兼ねることが多くあります。
作業主任者になるための技能講習の名前と受け方がわかる
有機溶剤の作業で会社がそろえるもの
- □ 有機溶剤作業主任者を選び、氏名と職務を掲示した
- □ 局所排気装置などを設け、1年以内ごとに1回の定期自主検査をしている
- □ 有機溶剤の区分(第1種は赤・第2種は黄・第3種は青)を色分けで表示した
- □ 中毒の症状・取扱いの注意・応急処置を掲示した
- □ 6か月以内ごとに1回、作業場の濃度を測り、記録を3年保存している
- □ 常時従事する人に、6か月以内ごとに1回の特殊健康診断をしている
- □ 防毒マスクなどの保護具を用意している
- 有機溶剤中毒予防規則 第20条・第24条・第25条・第28条・第29条
- 労働安全衛生規則 別表第1
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

技能講習の内容を前もって見ておきたいときや、選ばれたあとに職務を確かめ直すときの1冊です。中央労働災害防止協会の『有機溶剤作業主任者テキスト』第11版(2026年3月発行)です。中災防が、有機溶剤作業主任者になるための技能講習用のテキストとして出しています。講習機関によって使う教材が違うことがあるので、講習の前に買うときは、申し込む機関に確かめてください。
チェックリストの「防毒マスクなどの保護具」を、塗装など有機溶剤の作業でそろえるときの例です。興研の「塗装マスクセット G-7-06型」は、直結式小型防毒マスク G-7-06型(国家検定合格 第TN382号)に、有機ガス用の吸収缶 KGC-10型と、防じん用のフィルター・押さえを組み合わせたセットです(販売ページの表示)。販売ページでは塗装作業向けのセットとされ、ほかの作業では合う吸収缶を別に用意するよう書かれています。ガスの種類と濃度(直結式小型は0.1%以下)、酸素濃度を確かめたうえで、顔に密着させて正しく使ってください。
よくある質問
まとめ:屋内で有機溶剤を使うなら、資格者を置いて毎月点検
- 有機溶剤作業主任者は、屋内やタンクの内部などで有機溶剤を使う業務で必要です。
- 試験研究と、ごく少量(許容消費量以下)の場合は選任が不要です。
- 仕事は、作業の指揮、換気装置の毎月の点検、保護具の監視、タンク内の確認の4つです。
- 技能講習を修了した人から選び、氏名と職務を作業場に掲示します。
つまり、屋内でシンナーや塗料を使うなら、技能講習を修了した人を作業主任者に選び、換気装置の点検を毎月の習慣にすることが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


