SDSとは|安全データシートの役割・もらい方・職場での使い方

SDSとは何かを示す図解。化学物質の容器と安全データシートを読む作業者を描いたアイキャッチ 化学物質
お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • SDSとは何の書類なのか、なぜ必要なのかわからない
  • 取引先からSDSを求められた/仕入れ先からSDSが届いたが、どう扱えばいいか知りたい
  • SDSを職場でどう使えばいいのか知りたい
この記事でわかること
  • SDSとは何か、誰が誰に渡すものか
  • SDSに書かれていることと、もらい方
  • 受け取った会社がやること(掲示・周知・リスクアセスメント)
結論|まず30秒でわかる答え

SDS(安全データシート)は、化学物質の名前・成分・危なさ・扱い方・事故のときの応急措置などを、売る側(渡す側)が買う側に知らせる書類です。労働安全衛生法で決まった物質(通知対象物)を渡すときは、渡す時までにSDSで知らせることが義務で、受け取った会社は作業場に掲示するなどして働く人に知らせます。

SDSは Safety Data Sheet の略です。以前は MSDS と呼ばれていましたが、今は国際的にも SDS に統一されています。かんたんに言うと、化学物質の「取扱説明書」です。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

SDSとは:化学物質の情報を、渡す側から受け取る側へ

SDSは、化学物質を作る・売る会社から、それを使う会社へ、そして実際に扱う働く人へと、情報をつないでいくための書類です。

STEP 1

メーカー・販売店が作る。通知対象物を売ったり渡したりするときに、SDSを作って相手に知らせます(法第57条の2)。

STEP 2

使う会社が受け取る。仕入れた製品ごとにSDSを受け取り、保管します。

STEP 3

働く人に知らせる。作業場の見やすい場所に掲示する、備え付けるなどして、扱う人がいつでも見られるようにします(法第101条第4項)。

たとえると

家電の取扱説明書に似ています。買った人が安全に使えるよう、作った人が「危ない使い方」「困ったときの対処」を書いて渡します。SDSは、それを化学物質で、法律で決めたものです。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

SDSの流れの図。メーカーが作り、使う会社が受け取り、作業場で働く人に知らせる

SDSが義務になる物質と、努力義務の物質

この表の見方:上ほど義務が強くなります。

区分中身義務の強さ
通知対象物労働安全衛生法施行令で決まった物質(対象は順に増えている)義務
それ以外の危険・有害な物質厚生労働大臣が定める特定危険有害化学物質等努力義務
一般消費者向けの製品家庭用の洗剤など、主に一般の人が使う製品として渡すもの対象外

通知対象物は、2025年4月以降も段階的に追加されています。自社が使っている物質が対象かどうかは、厚生労働省の職場のあんぜんサイトの「モデルSDS」などで調べられます。

注意|ここで間違えやすい

「SDSが届かない=危なくない」とは限りません。対象外の物質でも、危険・有害なものは多くあります。届いていない製品は、仕入れ先に求めるようにしましょう。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

SDSに書かれていること

SDSは JIS Z 7253 に沿って16の項目で書かれるのが一般的です。法律では、少なくとも次の事項を知らせることになっています。

この表の見方:左が条文の言葉、右がやさしい言いかえです。16項目の読み方は、別の記事でくわしく扱います。

法律で決まった主な事項やさしく言うと
名称、成分とその含有量何という製品で、何がどれだけ入っているか
物理的及び化学的性質燃えやすさ、においの有無、沸点など
人体に及ぼす作用吸ったり触れたりしたときの体への害
貯蔵又は取扱い上の注意しまい方、使い方の注意
事故が発生した場合の応急の措置こぼした・浴びた・吸ったときの対処
危険性又は有害性の要約、想定される用途と使用上の注意、適用される法令などひと目でわかる危険のまとめ、使い道と注意、関係する法律

「人体に及ぼす作用」は、渡す側が5年以内ごとに最新の知見で見直すことになっています(規則第34条の2の5)。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

SDSに書かれていることの図。成分と含有量、危なさ、扱い方、事故のときの対処

SDSのもらい方:紙でなくてもよい

SDSは、紙で渡すほか、次の方法でもよいとされています(規則第34条の2の3)。

  • CD・USBメモリなどの記録媒体を渡す
  • FAX・電子メールで送る
  • SDSが載っているホームページのアドレス(二次元コードでもよい)を伝えて、見てもらう

ただし、ホームページで知らせる場合も、受け取った会社が働く人に知らせる義務は変わりません。社内のパソコンや印刷した紙で、作業場の人がすぐに見られるようにしておきます。

当てはめ例

この表の見方:どれも架空の例です。

職場の例(架空)やること
塗装工場で、新しいシンナーを買った仕入れ先からSDSを受け取り、塗装場に置く。リスクアセスメントを行う
仕入れ先から「SDSはホームページで」と言われたURLを控えて社内で印刷・保存し、作業場で見られるようにする
取引先に自社の接着剤を売ることになった通知対象物が含まれるなら、売る時までにSDSを渡す
根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

受け取った会社がやること

SDSのチェックリスト
  • □ 使っている化学物質の製品ごとに、SDSがそろっている
  • □ SDSを、扱う作業場の見やすい場所に掲示するか、備え付けている(電子でもすぐ見られる)
  • □ 新しく使い始めた物質や、作業の方法を変えたときに、リスクアセスメントを行った
  • □ リスクアセスメントの結果を記録し、働く人に知らせた
  • □ SDSの改訂版が届いたら、古いものと差し替えた

SDSは、リスクアセスメント(化学物質の危なさを調べて対策を決めること)の出発点です。リスクアセスメント対象物を新しく使い始めるときや、作業の方法を変えるときに行い、結果を記録して働く人に知らせます(規則第34条の2の7・第34条の2の8)。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

SDSを受け取った会社がやることの図。そろえる、作業場で知らせる、リスクアセスメントに使う

よくある質問

Q. SDSとは何ですか?

A. 化学物質の成分・危なさ・扱い方・事故のときの対処などを、渡す側が受け取る側に知らせる書類です。

Q. SDSとMSDSの違いは?

A. 中身は同じものです。以前はMSDSと呼ばれていましたが、今は国際的にもSDSに統一されています。

Q. SDSは誰が作りますか?

A. 化学物質を作ったり売ったりする会社が作り、渡す相手に知らせます。使う会社は受け取って保管します。

Q. SDSは紙でもらう必要がありますか?

A. 紙でなくてもかまいません。メールやホームページのアドレスでもよく、受け取った会社は働く人が見られるようにします。

Q. 受け取ったSDSはどうすればいいですか?

A. 作業場に掲示・備え付けるなどして働く人に知らせ、リスクアセスメントに使います。改訂版が来たら差し替えます。

まとめ:SDSは化学物質の「取扱説明書」

POINT
  • SDSは、化学物質の成分・危なさ・扱い方・応急措置を、渡す側が受け取る側に知らせる書類です。
  • 通知対象物は、渡す時までにSDSで知らせることが義務です(法第57条の2)。
  • 紙のほか、メールやホームページのアドレスで知らせてもかまいません。
  • 受け取った会社は、作業場で働く人に知らせ、リスクアセスメントに使います。

つまり、化学物質を使う職場では、まず手元のSDSをそろえて作業場に置くことが、安全管理の第一歩です。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。

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SDSの役割がわかったら、職場の化学物質の管理をまとめる「化学物質管理者」の役割も確かめておきましょう。

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