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法令で有機溶剤とされる物質の数(労働安全衛生法施行令 別表第6の2)。第1種2・第2種35・第3種7に分かれます。
有機溶剤とは、塗料をうすめたり油汚れを落としたりするのに使う、ほかの物を溶かす性質をもつ有機化合物です。法令で「有機溶剤」とされるのは、労働安全衛生法施行令 別表第6の2の44物質で、有機溶剤中毒予防規則は第1種(2物質)・第2種(35物質)・第3種(7物質)に分けています。有機溶剤を重さで5%を超えて含む混合物も対象です。
先に読む所:第1種〜第3種の一覧/混合物は5%で判定/区分ごとに必要なこと
有機溶剤は、蒸発しやすく、吸い込んだり皮膚についたりすると体に入ります。多くは引火もしやすいため、健康と火災の両方に気をつける必要があります。
- 労働安全衛生法施行令 別表第6の2(有機溶剤)
- 有機溶剤中毒予防規則 第1条(定義と区分)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(別表第6の2)
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
有機溶剤の一覧:第1種・第2種・第3種
施行令 別表第6の2の44物質を、有機溶剤中毒予防規則の区分で並べました。名前は条文の書き方にそろえています(かっこは別名)。
左が区分と表示の色、右がその区分の物質です。第2種は数が多いので3行に分けました。
| 区分(表示の色) | 物質 |
|---|---|
| 第1種(赤)2物質 | 1,2-ジクロルエチレン(二塩化アセチレン)、二硫化炭素 |
| 第2種(黄)35物質のうち アセトン〜クロルベンゼン | アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、オルト-ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン |
| 第2種(黄)つづき 酢酸イソブチル〜トリクロルエタン | 酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル-ブチル、酢酸ノルマル-プロピル、酢酸ノルマル-ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,1,1-トリクロルエタン |
| 第2種(黄)つづき トルエン〜メチル-ノルマル-ブチルケトン | トルエン、ノルマルヘキサン、1-ブタノール、2-ブタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチル-ノルマル-ブチルケトン |
| 第3種(青)7物質 | ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレビン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナーなどを含む) |
トルエン・キシレン・アセトン・メタノール・酢酸エチルなど、塗料のシンナーや洗浄剤によく入っている物質の多くは第2種です。ガソリンや石油系の溶剤(ミネラルスピリットなど)は第3種です。
クロロホルムやエチルベンゼンなどは、特定化学物質の「特別有機溶剤」(12物質)として、特定化学物質障害予防規則で管理されていて、この一覧には入りません。名前に「溶剤」とあっても、どの規則の対象かはSDSと条文で確かめます。
- 労働安全衛生法施行令 別表第6の2
- 有機溶剤中毒予防規則 第1条第1項第3号〜第5号
- 特定化学物質障害予防規則 第2条第1項第3号の2(特別有機溶剤)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(別表第6の2)
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
- e-Gov法令検索「特定化学物質障害予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

混合物は「5%」で判定する
塗料やシンナーの多くは、いくつかの物質の混合物です。混合物の扱いは、有機溶剤の重さの割合で決まります。
いいえ → 有機溶剤中毒予防規則の「有機溶剤等」に当たらない(ほかの化学物質の規制は確かめる)
いいえ → →Q3
いいえ → 第3種有機溶剤等(青)
当てはめ例:塗装用シンナー
たとえば、SDS(安全データシート)に「トルエン 40%、キシレン 30%、酢酸エチル 20%、そのほか 10%」と書かれたシンナーがあるとします。トルエン・キシレン・酢酸エチルはどれも第2種で、合計は 40+30+20=90% です。5%を超えるので、このシンナーは「第2種有機溶剤等」になり、表示の色は黄です。
含まれる物質と割合を確かめるSDSの役割と、読み方の基本がわかる
- 有機溶剤中毒予防規則 第1条第1項第2号〜第5号
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

区分ごとに必要なこと:設備・測定・健康診断
左が決まり、まん中が第1種・第2種、右が第3種の扱いです。作業主任者の選任など、ここにない決まりもあります。
| 決まり | 第1種・第2種 | 第3種 |
|---|---|---|
| 設備(密閉・局所排気装置など) | 屋内作業場などで必要(第5条) | タンク等の内部で必要(第6条) |
| 作業環境測定(6か月以内ごと) | 屋内作業場で必要(第28条) | 対象外 |
| 特殊健康診断(6か月以内ごと) | 屋内作業場などで常時従事する人(第29条) | タンク等の内部の業務だけ |
| 区分の表示(色) | 第1種は赤、第2種は黄(第25条) | 青 |
| 掲示(症状・注意・応急処置) | 屋内作業場などで必要(第24条) | 同じ |
屋内作業場などで有機溶剤業務を行うときは、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した人から、有機溶剤作業主任者を選任します(第19条)。作業主任者は、作業の方法を決めて指揮し、換気装置を1か月を超えない期間ごとに点検し、保護具の使用状況を監視します。
有機溶剤作業主任者が必要な作業と、4つの仕事・講習がわかる
- 有機溶剤中毒予防規則 第5条・第6条・第19条・第24条・第25条・第28条・第29条
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

表示と掲示:色と書く中身
義務 屋内作業場などで有機溶剤業務を行うときは、使っている有機溶剤等の区分を、色分けと、色分け以外の方法(文字など)の両方で、見やすい場所に表示します(第25条)。色は、第1種が赤、第2種が黄、第3種が青です。
義務 あわせて、次の事項を見やすい場所に掲示します(第24条)。
自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。
掲示の中身は、使っている物質のSDSの内容に合わせて書きかえてください。症状や応急処置は、SDSの記載と産業医の助言にもとづいて書くと確実です。
塗装など有機溶剤の作業で使う防毒マスクの例です。興研の「塗装マスクセット G-7-06型」は、直結式小型防毒マスク G-7-06型(国家検定合格 第TN382号)に、有機ガス用の吸収缶 KGC-10型と、防じん用のフィルター・押さえを組み合わせたセットです(販売ページの表示)。販売ページでは塗装作業向けのセットとされ、ほかの作業では合う吸収缶を別に用意するよう書かれています。ガスの種類と濃度(直結式小型は0.1%以下)、酸素濃度を確かめたうえで、顔に密着させて正しく使ってください。
作業主任者として選ばれる人が、有機溶剤の性質や設備の決まりをまとめて学ぶ1冊です。中央労働災害防止協会の『有機溶剤作業主任者テキスト』第11版(2026年3月発行)です。中災防が、有機溶剤作業主任者になるための技能講習用のテキストとして出しています。講習機関によって使う教材が違うことがあるので、講習の前に買うときは、申し込む機関に確かめてください。
- 有機溶剤中毒予防規則 第24条(掲示)・第25条(区分の表示)
- e-Gov法令検索「有機溶剤中毒予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
まとめ:一覧で区分を確かめ、表示と掲示から
- 法令の有機溶剤は施行令 別表第6の2の44物質で、5%を超えて含む混合物も対象です。
- 第1種は2物質、第2種は35物質、第3種は石油系など7物質です。
- 第1種・第2種は、屋内作業場で設備・測定・健康診断が必要になります。
- 区分は赤・黄・青で表示し、症状・注意・応急処置を掲示します。
つまり、まず使っている塗料や洗浄剤のSDSを見て、どの区分かを確かめることが出発点です。区分がわかれば、表示の色と、必要な設備・測定・健康診断が決まります。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


