GHSは、化学品の危険性・有害性を世界共通の基準で分類し、ラベルとSDS(安全データシート)で伝えるしくみです。ラベルには赤い菱形のピクトグラム(絵表示)が9種類あり、炎は燃えやすい物、どくろは少量でも命にかかわる毒性、健康有害性(人の胸の絵)はがんなど長く続く健康への害を表します。
知りたいことから:9種類の一覧と意味/似ている絵の見分け方/ラベルの6項目と注意喚起語
この記事では、GHSのピクトグラムの意味を、似ている絵の見分け方とあわせて説明します。GHSは「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」の略です。かんたんに言うと、国や会社が違っても、同じ危険には同じ絵と言葉を使おう、という世界のルールです。日本では、労働安全衛生法のラベル表示やJIS Z 7253 がこのルールにもとづいています。
- 労働安全衛生法 第57条
- 職場のあんぜんサイト「GHSのシンボルと名称」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「GHSのシンボルと名称」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
GHSマーク(ピクトグラム)9種類の一覧と意味
ピクトグラムは、赤い菱形の枠に黒い絵です。大きく「物理的な危険(燃える・爆発する)」「健康への害」「環境への害」に分かれます。
1. 物理的な危険(燃える・爆発する)
| 絵 | 名前 | 主な危険 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 炎 | 炎 | 燃えやすい(引火性の液体・ガス、可燃性の固体、自然発火性など) | シンナー、ガソリン、スプレー缶 |
| 円の上に炎 | 円上の炎 | ほかの物を燃えやすくする(酸化性のガス・液体・固体) | 酸素ボンベ、過酸化水素 |
| 爆発する爆弾 | 爆弾の爆発 | 爆発する(火薬類、自己反応性化学品、有機過酸化物) | 火薬、一部の硬化剤 |
| ボンベ | ガスボンベ | 高い圧力のガス(熱で破裂のおそれ) | 窒素・炭酸ガスのボンベ |
2. 健康への害
| 絵 | 名前 | 主な有害性 | どんな害か |
|---|---|---|---|
| どくろ | どくろ | 急性毒性(区分1〜3) | 少量でも、飲む・吸う・触れると命にかかわる |
| びっくりマーク | 感嘆符 | 急性毒性(区分4)、皮膚・眼の刺激、皮膚のかぶれ(感作性)など | どくろより弱いが、有害 |
| 液体が手と金属を溶かす絵 | 腐食性 | 皮膚の腐食、眼の重い損傷、金属の腐食 | 皮膚がただれる、失明のおそれ |
| 人の胸に星形 | 健康有害性 | 発がん性、生殖毒性、呼吸器感作性、臓器への毒性、誤えんの有害性など | すぐには出ないが、長く続く・重い健康への害 |
3. 環境への害
ピクトグラムの対象は、職場のあんぜんサイト「GHSのシンボルと名称」によります。区分によって使う絵が少し違うので、詳しくはSDSで確かめます。
| 絵 | 名前 | 主な有害性 |
|---|---|---|
| 枯れた木と魚 | 環境 | 水の生き物への有害性 |

似ている絵の見分け方
どくろ
- 急性毒性が強い(区分1〜3)
- 少量でも命にかかわる
- 注意喚起語は「危険」
感嘆符
- 急性毒性が比較的弱い(区分4)や刺激性など
- 有害だが、どくろほどではない
- 注意喚起語は「警告」が多い
炎
- その物自体が燃えやすい
- 火気を近づけない
円上の炎
- その物は燃えなくても、ほかの物を激しく燃やす
- 燃えやすい物と一緒に置かない
「健康有害性(人の胸の絵)」は見落としやすい絵です。すぐに具合が悪くならないため軽く見られがちですが、がんや生殖への影響など、長い時間をかけて出る重い害を表します。このマークがあれば、吸わない・触れない対策を必ずとりましょう。

ラベルの6つの項目と、注意喚起語
労働安全衛生法では、決められた化学物質を容器に入れて渡すとき、ラベルに次の項目を書くことが決まっています。
このほか「安定性及び反応性」も表示事項です(規則第33条)。
| 項目 | 読み方のポイント |
|---|---|
| 名称 | 製品名や化学物質の名前 |
| 注意喚起語 | 「危険」か「警告」。危険のほうが重い |
| ピクトグラム(絵表示) | 上の9種類のうち、あてはまるもの |
| 人体に及ぼす作用(危険有害性情報) | 「飲み込むと有害」「発がんのおそれ」など |
| 貯蔵または取扱い上の注意(注意書き) | 「保護手袋を着用すること」「換気のよい場所で使用すること」など |
| 表示をする者の氏名・住所・電話番号 | メーカーや販売元の連絡先 |
注意喚起語の例(飲み込んだときの急性毒性)
| 区分 | 注意喚起語 | 危険有害性情報 |
|---|---|---|
| 区分1・区分2 | 危険 | 飲み込むと生命に危険 |
| 区分3 | 危険 | 飲み込むと有毒 |
| 区分4 | 警告 | 飲み込むと有害 |
ラベルよりくわしい情報が書かれたSDSの読み方がわかる
- 労働安全衛生法 第57条第1項
- 労働安全衛生規則 第33条
- 職場のあんぜんサイト「GHSのシンボルと名称」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「GHSのシンボルと名称」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

職場で小分けしたときの表示
ラベルのある大きな容器から、別の容器に小分けして保管するときも、名称と人体に及ぼす作用を、その容器への表示などで明らかにしなければなりません(規則第33条の2)。
- □ 小分けした容器(ボトル・缶・スプレー容器など)に、名称を書いた
- □ 人体に及ぼす作用(「吸うと有害」など)も書いた。ピクトグラムのシールを貼るとわかりやすい
- □ 容器に書けないときは、名称と作用を書いた紙を近くに掲示するなどで知らせている
- □ 飲み物の空き容器を小分けに使っていない
- □ 元のラベルとSDSを、すぐ見られる場所に置いている
義務 小分けしたときの表示は、ラベル表示やSDSの交付が必要な化学物質(施行令第17条・第18条の物)を保管するときの義務です。
よくある質問
まとめ:絵で危険の種類、言葉で重さがわかる
- GHSは、化学品の危険性・有害性を世界共通のルールで伝えるしくみです。
- ピクトグラムは9種類で、燃える・爆発する、健康への害、環境への害を表します。
- 注意喚起語は「危険」のほうが「警告」より重いです。
- 小分けした容器にも、名称と人体に及ぼす作用を表示します。
つまり、化学品を使う前にラベルの絵と注意喚起語を見て、どくろ・腐食性・健康有害性があればSDSで対策を確かめることが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


