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酸素濃度計(酸素濃度測定器)は、①測るガス(第1種酸素欠乏危険作業は酸素、第2種は酸素と硫化水素)、②JIS T 8201(酸素計)・JIS T 8205(硫化水素計)の適合表示、③使う場面(入る前に外から測るか、作業中に身に着けて警報を鳴らすか)と防爆の要否、の3つで選びます。酸素欠乏危険作業では、その日の作業の前に濃度を測り、記録を3年間保存することが会社の義務です(酸素欠乏症等防止規則 第3条)。
知りたいことから:JIS T 8201・8205の表示/場所別の選び方/測り方の手順
酸素が足りない空気や硫化水素は、色もにおいも当てにならず、見た目では危険がわかりません。だからこそ、正しく選んだ測定器で、入る前に必ず数字で確かめます。
- 酸素欠乏症等防止規則 第3条(作業環境測定等)・第4条(測定器具)
- JIS T 8201:2010 酸素欠乏測定用酸素計/JIS T 8205:2018 硫化水素計
- e-Gov法令検索「酸素欠乏症等防止規則」
- 日本産業標準調査会(JISC)JIS T 8201:2010「酸素欠乏測定用酸素計」・JIS T 8205:2018「硫化水素計」(JIS検索で閲覧)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
法令で決まっていること:測定・記録・測定器を備える
酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)は、酸素欠乏危険場所での作業について、測定と測定器のことを次のように決めています。
左が決まっていること、真ん中が中身、右が根拠の条です。
| 決まっていること | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 作業前の測定 | その日の作業を始める前に、酸素の濃度を測る(第2種は酸素と硫化水素) | 酸欠則 第3条第1項 |
| 測定の記録 | 日時・方法・箇所・条件・結果・測った人・とった措置を記録し、3年間保存 | 酸欠則 第3条第2項 |
| 測定器を備える | 測定に必要な測定器具を備えるか、すぐ使えるようにしておく | 酸欠則 第4条 |
| 作業主任者が測る | 作業前、全員が離れたあとの再開前、異常があったときに測る。測定器具を点検する | 酸欠則 第11条第2項 |
| 基準の濃度 | 酸素18%以上、硫化水素10ppm以下に保つよう換気する | 酸欠則 第5条 |
義務(罰則あり) 第3条の作業前の測定は、労働安全衛生法 第65条第1項の作業環境測定にあたり、怠ると6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(同法 第119条)。
ここで言う「酸素欠乏」は酸素の濃度が18%未満の状態、「酸素欠乏等」はそれに加えて硫化水素が10ppm(100万分の10)を超える状態です(酸欠則 第2条)。
酸欠の場所の測定は、作業環境測定士に頼む決まりの「指定作業場」には入っていません(作業環境測定法施行令 第1条)。会社の人が、正しい測定器で測ってよい測定です。そのぶん、測定器の選び方と使い方が大事になります。
酸欠の作業で必要な特別教育を含む、特別教育の一覧がわかる
- 酸素欠乏症等防止規則 第2条・第3条・第4条・第5条・第11条
- 労働安全衛生法 第65条・第119条
- 労働安全衛生法施行令 第21条第9号・別表第6
- 作業環境測定法施行令 第1条
- e-Gov法令検索「酸素欠乏症等防止規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(別表第6 酸素欠乏危険場所)
- e-Gov法令検索「作業環境測定法施行令」(指定作業場)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

規格で見るところ:JIS T 8201 と JIS T 8205 の表示
酸素濃度計とガス検知器は、防じんマスクのような国家検定(型式検定)の対象ではありません。そのため、性能の目安になるのが日本産業規格(JIS)です。
左が見るところ、右がJIS T 8201で決まっていることです。
| 見るところ | JIS T 8201(酸素計)で決まっていること |
|---|---|
| 表示する範囲 | 少なくとも酸素15〜21%をはっきり表示。デジタルは0.1%単位 |
| 警報 | 少なくとも18〜21%の範囲で警報の値を設定でき、その値以下で鳴り続ける |
| 精度 | 25%以下の範囲で、実際の濃度との差が±0.7%以内 |
| 反応の速さ | 表示の遅れは20秒以内(定置形は30秒以内)、警報の遅れは5秒以内 |
| 本体の表示 | 規格番号・名称・製造業者・製造年月、防爆構造ならその旨 |
硫化水素計の規格はJIS T 8205です。本体に規格番号・名称・製造番号・製造業者・製造年月、防爆構造ならその旨を表示することが決まっています。
推奨(指針・通達) JISへの適合は法令の義務ではありませんが、酸欠則 第4条の「必要な測定器具」として、性能が確かめられたものを選ぶ目安になります。カタログや本体で「JIS T 8201 適合」などの表示を確かめてください。
可燃性のガスや蒸気がたまるおそれのある場所で使う測定器は、防爆構造のものを選びます。JIS T 8201 も、防爆性が必要な場合は防爆構造とするとしています。電気機械器具の防爆構造は、労働安全衛生法 第42条にもとづく規格に合うものでなければなりません。
- JIS T 8201:2010 酸素欠乏測定用酸素計(4 性能・5 構造・8 表示)
- JIS T 8205:2018 硫化水素計(9 表示)
- 労働安全衛生法 第42条(防爆構造電気機械器具)
- 日本産業標準調査会(JISC)JIS T 8201:2010「酸素欠乏測定用酸素計」・JIS T 8205:2018「硫化水素計」(JIS検索で閲覧)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
種類と使い分け:形式と、空気の取り込み方
JIS T 8201 は、酸素計を「どこに置くか(形式)」と「空気をどう取り込むか(採気方式)」で分けています。
左が形式、真ん中が使い方、右が向いている場面です。
| 形式 | 使い方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 定置形 | 決まった場所に取り付けて監視する | 冷凍庫・地下室など、いつも同じ場所の監視 |
| 可搬形 | 台車などで運んで使う | 大きな槽やトンネルの中の監視 |
| 携帯形 | 手に持つ・肩に掛ける | 入る前に外から測る(ホースやケーブルで中を測る) |
| 装着形 | ポケットや腰に着ける | 作業中に身に着けて、下がったら警報で知らせる |
拡散式
- まわりの空気が自然にセンサーに触れる
- 身に着けて、まわりの空気をそのまま測る
- 入る前に中を測るときは、センサーをケーブルで下ろす(投込み式)
吸引式
- ポンプで空気を吸い込んでセンサーに当てる
- ホースを中に入れて、外から深い所まで測れる
- ホースが長いと、中の空気が届くまで少し時間がかかる
かんたんに言うと、入る前は「外から中を測れる」携帯形(吸引式か投込み式)、入ってからは「身に着けて鳴る」装着形、の2つをそろえるのが基本です。
- JIS T 8201:2010(2 用語及び定義・3 種類・5.2.1 採気方式)
- 日本産業標準調査会(JISC)JIS T 8201:2010「酸素欠乏測定用酸素計」・JIS T 8205:2018「硫化水素計」(JIS検索で閲覧)
情報の確認時点:2026年10月。

場所別の選び方:測るガスと防爆を決める
どのガスを測るかは、作業する場所で決まります。次の順に確かめてください。
いいえ → 酸欠則の測定の義務はありません。ただし、ふだんと違う密閉された場所なら、念のため測ります
いいえ → 第1種:酸素濃度計を選ぶ。次に防爆の要否を確かめる
左が場所の例、真ん中が測るガス、右が選ぶ形式の例です。第2種かどうかは別表第6と酸欠則 第2条で確かめます。
| 場所の例 | 測るガス | 選ぶ形式の例 |
|---|---|---|
| 下水のマンホール・汚水槽・汚泥のピット | 酸素と硫化水素(第2種) | 吸引式の携帯形+装着形の複合ガス検知器 |
| 長く閉めていたタンク・ボイラーの中 | 酸素(第1種) | 投込み式か吸引式の携帯形+装着形 |
| 窒素・アルゴンなどを入れていたタンク | 酸素(第1種) | 同上。配管のバルブの閉止と施錠も(酸欠則 第22条) |
| ドライアイスを使う冷凍車・冷凍庫 | 酸素(第1種) | 装着形、常に使う冷凍庫は定置形も |
| 穀物・飼料のサイロ、発酵タンク | 酸素(第1種) | 投込み式か吸引式の携帯形 |
可燃性のガス(メタンなど)が出るおそれのある場所や、塗装・溶剤を使う場所では、防爆構造の表示がある測定器を選びます。判断に迷うときは、メーカーに使う場所を伝えて確かめてください。
タンクやマンホールに入る前に、センサーを中に下ろして測れる酸素濃度計の例です。理研計器の投込み式酸素濃度計 OX-08 で、JIS T 8201:2010 適合と本質安全防爆構造が商品の仕様に書かれています。硫化水素は測れないので、第2種の場所では硫化水素も測れる測定器と組み合わせます。
測定器は、正しく選んで、決まった手順で使うことが前提です。測定器を買っただけで、酸欠が防げるわけではありません。
- 労働安全衛生法施行令 別表第6
- 酸素欠乏症等防止規則 第2条第8号・第22条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」(別表第6 酸素欠乏危険場所)
- e-Gov法令検索「酸素欠乏症等防止規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
測り方の手順:入る前に、外から、上・中・下
使う前に点検する。電池の残り、センサーの使用期限、ホースの割れや詰まりを確かめます。期限や点検の方法は取扱説明書に書かれています。
新鮮な空気で合わせる。外のきれいな空気の中で、取扱説明書の手順で校正します(酸素は約20.9%を示すのが目安)。
入る前に、外から測る。マンホールなどのふたを少し開け、ホースやセンサーを下ろして、上・中・下の複数の高さで測ります。国土交通省の下水道の資料では、縦と横にそれぞれ3点以上が原則とされています。
基準を下回ったら換気して測り直す。酸素18%未満、硫化水素10ppm超なら入りません。換気してから、もう一度測ります(純酸素で換気してはいけません)。
作業中は身に着けて監視する。入る人は装着形を身に着けます。全員が出たあと再び入る前や、異常があったときは測り直します(酸欠則 第11条)。
記録して3年保存する。測定の日時・方法・箇所・条件・結果・測った人・とった措置を記録します。
汚泥がたまっている所では、かき混ぜたときに硫化水素が一気に出ることがあります。国土交通省の資料は、外からかき混ぜてから測ることを示しています。かき混ぜられないときは、数字が基準以下でも適切な呼吸用保護具を使います。
自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。
酸欠の場所で落ちるおそれがあるときに使う、墜落制止用器具の決まりがわかる
- 酸素欠乏症等防止規則 第3条・第5条・第11条
- 国土交通省「測定点の例」(下水道管路)
- e-Gov法令検索「酸素欠乏症等防止規則」
- 国土交通省「測定点の例」(下水道管路の酸素欠乏・硫化水素の測定。通知の別紙)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

手入れと交換:センサーには寿命がある
酸素や硫化水素のセンサーは、使っていなくても少しずつ劣化します。JIS T 8201 と JIS T 8205 は、取扱説明書に「検知部の使用時間」や「保守管理の方法」を書くことを決めています。
- □ 使う日の前に、電池とセンサーの期限を確かめた
- □ 作業の前に、新鮮な空気で校正した
- □ 警報が鳴るか、取扱説明書の方法で確かめた
- □ メーカーの定期点検(年1回など、機種ごとに決まった時期)を受けた
- □ センサーを、決められた時期に交換した
- □ 落としたり水に浸けたりしたあと、点検に出した
メーカーによっては、センサーの保証に「年1回以上のメーカー点検」を条件にしている機種もあります。買うときに、点検と交換の費用もあわせて確かめておくと安心です。
- JIS T 8201:2010(9 取扱説明書)・JIS T 8205:2018(10 取扱説明書)
- 日本産業標準調査会(JISC)JIS T 8201:2010「酸素欠乏測定用酸素計」・JIS T 8205:2018「硫化水素計」(JIS検索で閲覧)
情報の確認時点:2026年10月。
よくある間違い
| 間違い | 正しくは |
|---|---|
| マンホールのふたを開けて、入口だけ測って入った | ホースやセンサーを下ろし、上・中・下で測る |
| 汚水のピットで、酸素だけ測った | 第2種の場所は酸素と硫化水素の両方を測る |
| 外気で校正しないまま使った | 使う前に、新鮮な空気で校正する |
| 入る前に1回測ったから、作業中は測らない | 装着形で監視し、再開前や異常時は測り直す |
| 酸素が低いので、酸素ボンベで換気した | 純酸素で換気してはいけない(酸欠則 第5条第3項) |
| 測った数字をメモせずに捨てた | 7つの項目を記録して3年保存する |
よくある質問
まとめ:場所でガスを決め、JISで選び、上・中・下で測る
- 酸欠の危険がある場所では、作業の前に濃度を測り、記録を3年保存するのが会社の義務です。
- 第1種は酸素、汚水の槽やマンホールなど第2種は酸素と硫化水素を測ります。
- JIS T 8201(酸素計)・JIS T 8205(硫化水素計)の適合表示を目安に選びます。
- 入る前は外から中を測れる携帯形、作業中は身に着けて鳴る装着形をそろえます。
- 使う前に外気で校正し、上・中・下の複数の高さで測ります。
つまり、場所から測るガスを決め、規格の表示で測定器を選び、入る前に必ず数字で確かめて記録することが、見えない酸欠と硫化水素から作業する人を守る方法です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


