50人未満の会社も、ストレスチェックをしなければならないのか。
今は努力義務で、2028年4月1日から義務になります。常時50人以上の事業場では、すでに1年以内ごとに1回行うことが義務です。ストレスチェックは、働く人が質問票に答えて仕事のストレスの状態を調べる検査で、医師・保健師などが実施し、結果は本人に直接知らせます。ストレスが高く、本人が申し出た人には医師の面接指導を行います(労働安全衛生法第66条の10)。
ストレスチェックの目的は、心の病気を見つけることではなく、働く人が自分のストレスに早く気づき、職場の環境を良くすることです。50人未満の事業場は今は努力義務ですが、2028年4月1日から義務になります。
50人未満の事業場が2028年4月までにやる準備がわかる
- 労働安全衛生法 第66条の10・附則第4条
- 労働安全衛生規則 第52条の9〜第52条の21
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
ストレスチェックとは:健康診断との違い
同じ「年1回の健康管理」でも、結果の扱いが大きく違います。
| 健康診断 | ストレスチェック | |
|---|---|---|
| 調べること | 体の状態(血圧・血液など) | 仕事のストレスの状態(質問票) |
| 結果を会社が見られるか | 見られる(会社が保存する) | 本人の同意がなければ見られない |
| 受ける義務 | 働く人にも受ける義務がある | 働く人に受ける義務はない(会社は受けられるようにする) |
質問票では、次の3つの領域を調べます(規則第52条の9)。
| 領域 | やさしく言うと |
|---|---|
| 職場における心理的な負担の原因 | 仕事の量や難しさ、職場の人間関係 |
| 心理的な負担による心身の自覚症状 | 疲れ・イライラ・不安・眠れないなど |
| 職場における他の労働者による支援 | 上司や同僚が助けてくれるか |
厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」がよく使われます。
- 労働安全衛生規則 第52条の9
- 労働安全衛生法 第66条の10第2項
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

ストレスチェックの流れ
会社が方針を決める。衛生委員会で、実施者・時期・結果の扱いなどを話し合い、社内のルールにします。
実施者を決める。医師・保健師、または研修を修了した看護師・精神保健福祉士・公認心理師などです。外部の機関に頼んでもかまいません。
質問票に答えてもらう。1年以内ごとに1回、働く人に答えてもらいます。
結果を本人に知らせる。実施者から本人に、遅滞なく(事情が許すかぎり早く)通知します。会社は同意がなければ結果を受け取れません。
申出があれば面接指導。ストレスが高く、実施者が必要と認めた人から申出があれば、遅滞なく医師の面接指導を行います。
医師の意見を聴いて措置。面接指導のあと遅滞なく医師の意見を聴き、作業や労働時間の見直しなどを考えます。
集団分析と報告。部署ごとに集計して職場の改善に生かし(努力義務)、50人以上の事業場は年1回監督署に報告します。
面接指導を申し出たことを理由に、解雇・異動など不利益な扱いをしてはいけません(第66条の10第3項)。働く人が安心して申し出られることが、制度が機能するための前提です。
- 労働安全衛生規則 第52条の10・第52条の12・第52条の14〜第52条の16・第52条の19・第52条の21
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

関わる人の役割と、会社が見られる範囲
人事権を持つ上司などは、実施の事務に関われません。
| 関わる人 | 役割 | 個人の結果を見られるか |
|---|---|---|
| 実施者(医師・保健師など) | 質問票の選定、高ストレス者の選び出し、結果の通知 | 見られる |
| 実施事務従事者 | 実施者の指示で、配布・回収・データの入力などの事務を行う | 事務に必要な範囲で(秘密を守る義務あり) |
| 会社(人事・上司) | 制度をつくり、受けられるようにし、面接指導や措置を行う | 本人の同意がある場合だけ |
かんたんに言うと、個人の結果は「本人と実施者のもの」です。会社が結果を受け取れるのは、本人が書面などで同意したときだけで、受け取った結果は5年間保存します(規則第52条の13)。
当てはめ例:60人の事業場
パートを含めて60人の物流倉庫の場合(架空の例)、ストレスチェックは義務です。外部のストレスチェックの機関に実施を頼み、事務は総務の担当者(人事権のない人)が行います。結果は本人に直接届き、高ストレスで申し出た2人に産業医の面接指導を行い、医師の意見をもとに残業を減らしました。年1回、結果を監督署に報告します。
- 労働安全衛生規則 第52条の10第2項・第52条の13
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

保存する記録と、義務の強さ
| 記録・手続き | 中身 | 強さ |
|---|---|---|
| 検査の結果の記録 | 実施者が作り、実施の事務を担う人が保存する(本人の同意で会社が受け取ったものは会社が5年保存) | 義務 |
| 面接指導の結果の記録 | 実施日・氏名・医師名・医師の意見などを書き、5年保存 | 義務 |
| 集団分析 | 部署ごとに集計・分析して、職場の改善に生かす。2027年4月からは「特定の個人を識別できない方法で」行うことが規則に明記される(令和8年厚生労働省令第112号、基発0630第2号) | 努力義務 |
| 監督署への報告 | 常時50人以上の事業場が、年1回 | 義務 |
ストレスチェックを実施しないことは、罰則の条文には挙げられていませんが、50人以上の事業場では法律上の義務です。一方、監督署への報告は労働安全衛生法第100条にもとづくもので、報告をしないと第120条により50万円以下の罰金の対象になります。
- 労働安全衛生規則 第52条の13・第52条の14・第52条の18・第52条の21
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
まとめ:結果は本人に、申し出には面接指導
- ストレスチェックは、質問票で仕事のストレスの状態を調べる検査です。
- 常時50人以上の事業場は1年以内ごとに1回の実施が義務です(50人未満は2028年4月から)。
- 結果は実施者から本人に通知し、会社は同意がなければ見られません。
- 申し出た高ストレス者には医師の面接指導を行い、意見を聴いて措置をとります。
つまり、衛生委員会でルールを決め、実施者を選び、結果の扱いを社員に説明してから始めることが、安心して受けてもらうための近道です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


