産業医とは|50人からの選任義務・人数と専属・役割

産業医とは何かを示す図解。職場を見回る白衣の産業医と担当者のアイキャッチ 法令と管理体制
常時50人以上

この規模の事業場は、産業医の選任が義務です。1,000人以上(有害業務は500人以上)は専属が必要です。

答え

産業医は、職場で働く人の健康管理を行う医師で、常時50人以上の労働者を使用する事業場は選任が義務です(労働安全衛生法第13条、施行令第5条)。1,000人以上(有害業務は500人以上)の事業場は専属の産業医、3,000人を超えると2人以上が必要で、選任は14日以内に行い、監督署に報告します。

先に読む所:何人から何人必要か/選べる医師と選任の手順/産業医の役割

産業医は、病気を治療する医師ではありません。健康診断の結果や職場の環境を見て、働く人が健康に働けるよう会社に助言・勧告する医師です。かんたんに言うと、「会社のかかりつけ医」のような存在です。同じ常時50人以上で選任が必要になる衛生管理者は、「衛生管理者とは」の記事で解説しています。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

何人から、何人の産業医が必要か

人数は事業場ごとに、パート・派遣を含めて数えます。

事業場の人数(常時)必要な産業医
50人未満選任の義務なし(医師などに健康管理をしてもらうよう努める)
50人以上1人(嘱託でもよい)
1,000人以上、または有害業務に500人以上専属の産業医1人以上
3,000人を超える2人以上

嘱託の産業医

  • ほかの病院や診療所で働きながら、月に数回来てもらう
  • 50人以上1,000人未満の多くの事業場はこの形

専属の産業医

  • その事業場に所属して働く
  • 1,000人以上(有害業務は500人以上)の事業場で必要

ここでいう有害業務は、深夜業を含む業務、暑い場所・寒い場所の業務、有害物を扱う業務、重い物を扱う業務、強い騒音のある場所の業務などです(規則第13条)。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

事業場の人数で変わる産業医の図。50人以上で1人、1,000人以上は専属、3,000人を超えると2人以上

選べる医師と、選任の手順

産業医になれるのは、医師のうち、労働者の健康管理に必要な知識の要件を満たす人です(規則第14条第2項)。

要件中身
研修の修了日本医師会などが行う産業医の研修を修了した医師(いわゆる認定産業医)
大学の課程産業医科大学などで産業医の課程を修めた医師
労働衛生コンサルタント試験の区分が保健衛生の人
大学の教員労働衛生の科目を担当する教授・准教授・講師(常勤)など
注意|ここで間違えやすい

会社の社長や、工場長など事業の実施を統括管理する人は、医師であっても、その事業場の産業医に選べません(規則第13条第1項第2号)。会社から独立した立場で意見を言えるようにするためです。

STEP 1

医師を探す。地域の医師会、健康診断を頼んでいる健診機関、産業医の紹介サービスなどで探します。

STEP 2

14日以内に選任する。契約を結び、選任が必要になった日から14日以内に選任します。

STEP 3

監督署に報告する。遅滞なく、電子申請で所轄の労働基準監督署に報告します。要件を満たすことがわかる書類も添えます。

義務(罰則あり) 産業医を選任しないと、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象になります。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

産業医の選任の流れの図。医師を探し、14日以内に選任し、監督署に報告する

産業医の役割(仕事)

仕事例
健康診断のあとの措置結果を見て、仕事の配慮が必要な人について意見を出す
面接指導長時間労働の人や、ストレスチェックで高ストレスの人と面談する
職場巡視少なくとも毎月1回、職場を見回る(条件を満たせば2か月に1回)
衛生委員会委員として出席し、健康管理の対策に意見を出す
健康教育・相談健康づくりの話や、働く人の相談に乗る

産業医は、働く人の健康を確保するため必要なときは、会社に勧告できます。会社はその勧告を尊重し、衛生委員会に報告しなければなりません(法第13条第5項・第6項)。会社は、長時間労働の人の情報など、産業医が仕事をするのに必要な情報を提供します(法第13条第4項)。

産業医と決めておくことのチェックリスト
  • □ 月に何回来てもらうか、巡視の日を決めた
  • □ 健康診断の結果を共有する方法を決めた
  • □ 長時間労働の人の情報を毎月渡す流れを決めた
  • □ ストレスチェックの面接指導をお願いできるか確かめた
  • □ 衛生委員会への出席の日程を決めた
根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

産業医の仕事の図。健康診断後の措置、面接指導、毎月の職場巡視、衛生委員会

よくある質問

Q. 産業医とは何ですか?

A. 職場で働く人の健康管理を行う医師です。治療ではなく、健康診断の結果や職場の環境をもとに会社に助言・勧告します。

Q. 産業医は何人から必要ですか?

A. 常時50人以上の労働者を使用する事業場で選任が義務です。人数はパートや派遣も含めて事業場ごとに数えます。

Q. 専属の産業医は何人から必要ですか?

A. 常時1,000人以上、または深夜業や有害業務に常時500人以上が従事する事業場で、専属の産業医が必要です。

Q. 産業医は月に何回来てもらいますか?

A. 職場巡視は少なくとも毎月1回です。会社が決まった情報を毎月提供し、同意があれば2か月に1回にできます。

Q. 50人未満の会社は産業医がいなくてもいいですか?

A. 選任の義務はありませんが、医師などに健康管理をしてもらうよう努めます。地域産業保健センターに無料で相談できます。

まとめ:50人以上になったら14日以内に産業医を

POINT
  • 産業医は、職場の健康管理を行う医師で、常時50人以上の事業場は選任が義務です。
  • 1,000人以上(有害業務は500人以上)は専属、3,000人を超えると2人以上が必要です。
  • 要件を満たす医師から14日以内に選び、監督署に報告します。社長などは選べません。
  • 健康診断のあとの措置、面接指導、毎月の巡視、衛生委員会への出席が主な仕事です。

つまり、従業員が50人に近づいたら、早めに産業医を探しはじめ、契約のときに巡視や面接指導の進め方まで決めておくと安心です。

S
シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。

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