帰りにスーパーへ寄ったら、通勤災害にならないのか。
寄り道をすると、その後の移動は通勤になりません。ただし、日用品の購入など決められた行為を最小限で行ったときは、元の経路に戻ったあとは通勤に戻ります。通勤災害とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所の往復などの移動を、合理的な経路と方法で行う途中で負傷したり病気になったりしたときの災害で、労災保険から療養給付・休業給付などが出ます(労働者災害補償保険法第7条)。
ここから読む:寄り道(逸脱・中断)をしたとき/通勤と認められる移動/業務災害との違い
かんたんに言うと、「ふだんの通勤のルートで、まっすぐ行き帰りしている途中のけが」は労災保険で守られる、ということです。パート・アルバイトも同じです。
- 労働者災害補償保険法 第7条
- 労働者災害補償保険法施行規則 第8条
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
通勤と認められる移動
どれも「就業に関し」て行う移動で、「合理的な経路と方法」によるものです。会社の指示で取引先に行くなど、業務の性質をもつ移動は、通勤ではなく業務になります(業務中のけがは業務災害)。
| 移動 | 例 |
|---|---|
| 1. 住居と就業の場所の往復 | 自宅から会社へ行く、会社から自宅へ帰る |
| 2. 就業の場所から他の就業の場所への移動 | かけもちで、A社の仕事が終わってB社へ向かう |
| 3. 単身赴任先の住居と帰省先の住居の間の移動 | 単身赴任の人が、週末に家族のいる自宅へ帰る(一定の要件あり) |
「合理的な経路と方法」とは、ふだん使っている経路や、それに代わる無理のない経路のことです。電車・バス・車・自転車・徒歩など、ふつうに使われる方法なら、会社に届けた方法と違っても通勤にあたることがあります。
- 労働者災害補償保険法 第7条第2項
- 労働者災害補償保険法施行規則 第6条・第7条
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

寄り道(逸脱・中断)をしたとき
通勤の途中で経路をはずれたり(逸脱)、通勤と関係ないことをしたり(中断)すると、その間とその後の移動は通勤になりません。ただし、次の5つの行為を、やむを得ない事情で最小限の範囲で行ったときは、元の経路に戻ったあとは通勤に戻ります(寄り道の間は除きます)。
| 日常生活上必要な行為(施行規則第8条) | 例 |
|---|---|
| 1. 日用品の購入など | 帰りにスーパーで夕食の材料を買う、クリーニング店に寄る |
| 2. 職業訓練・学校での教育など | 仕事に役立つ学校や訓練に通う |
| 3. 選挙権の行使など | 投票所に寄って投票する |
| 4. 病院・診療所での診察や治療など | 帰りに病院で診察を受ける |
| 5. 要介護状態の家族の介護(継続的・反復して行うもの) | 毎日、親の家に寄って介護をする |
いいえ → →Q2へ
いいえ → 寄り道のあとは通勤ではなく、通勤災害にならない
当てはめ例
どれも架空の例です。最終的には労働基準監督署が個別に判断します。
| 場面(架空) | 通勤災害か |
|---|---|
| 会社の帰り、いつもの駅の階段で転んだ | 通勤災害にあたる |
| 帰りにスーパーで買い物をし、元の道に戻ってから自転車で転んだ | 通勤災害にあたる(日用品の購入) |
| 帰りにスーパーの店内で転んだ | 寄り道の途中なので対象外 |
| 帰りに同僚と居酒屋で飲み、店を出たあと帰り道で転んだ | 寄り道のあとなので対象外(5つの行為にあたらない) |
| 会社の指示で、取引先から直接帰る途中で事故にあった | 取引先への移動は業務の性質をもつかを個別に判断(業務災害になることもある) |
- 労働者災害補償保険法 第7条第3項
- 労働者災害補償保険法施行規則 第8条
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

業務災害との違い
待期期間の補償と解雇制限は労働基準法第76条・第19条の業務上の災害についての決まりです。
| 業務災害 | 通勤災害 | |
|---|---|---|
| 労災保険の給付の名前 | 療養補償給付・休業補償給付など(「補償」がつく) | 療養給付・休業給付など |
| 休業の最初の3日間(待期期間) | 会社が休業補償(平均賃金の60%)を払う | 会社の補償の義務はない |
| 一部負担金 | なし | 療養給付で原則200円(最初の休業給付から差し引く) |
| 解雇の制限 | 療養のための休業期間とその後30日間は解雇できない | この制限はない |
| 労働者死傷病報告 | 休業したら報告する | 通勤途中の災害は対象外 |
通勤災害でも、病院では健康保険ではなく労災保険を使います。窓口で「通勤中のけがです」と伝え、通勤災害用の請求書を出します。
業務災害で会社が払う、待期3日の休業補償の計算がわかる
- □ 事故の日時・場所・経路を本人から聞き取った
- □ ふだんの通勤経路と方法を確かめた
- □ 寄り道があれば、その理由と場所を確かめた
- □ 病院で労災保険(通勤災害)として受診するよう伝えた
- □ 通勤災害用の請求書の、会社が証明する欄を記入した
- □ 相手のいる交通事故なら、第三者行為災害の届けが必要なことを伝えた
- 労働者災害補償保険法 第21条・第22条の2・第31条第2項
- 労働者災害補償保険法施行規則 第44条の2
- 労働基準法 第19条・第76条
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」
- e-Gov法令検索「労働基準法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問
まとめ:まっすぐの行き帰りは通勤。寄り道は5つの行為だけ例外
- 通勤災害は、通勤の途中のけがや病気で、労災保険から給付が出ます。
- 住居と会社の往復、会社から別の会社への移動、単身赴任の帰省の移動が対象です。
- 寄り道のあとは通勤になりませんが、日用品の購入など5つの行為は元の経路に戻れば通勤です。
- 業務災害と違い、待期3日の会社の補償・解雇制限・死傷病報告はありません。
つまり、社員から通勤中のけがの連絡があったら、経路と寄り道の有無を聞き取り、労災保険で受診するよう伝えることが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


