技能講習は、都道府県労働局に登録した講習機関が行い、修了試験に合格すると修了証がもらえる講習です。特別教育は、危険・有害な業務に就かせるときに会社が行う教育で、記録を会社が3年間保存します。同じ機械でも、フォークリフトなら最大荷重1トン以上は技能講習、1トン未満は特別教育のように、大きさで分かれます。
知りたいことから:機械の大きさで分かれる境目の一覧/実施者・修了証の違い/迷ったとき
かんたんに言うと、危険の大きい作業ほど「外部の講習で試験に受かった人」でないとできず、それより小さい作業は「会社がきちんと教えた人」ならできる、という段階のしくみです。さらに大きな機械には「免許」が必要です。
- 労働安全衛生法 第59条第3項・第61条・第76条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
技能講習と特別教育の違い
技能講習の業務は資格がない人が行うこと自体も禁止されています(法第61条第2項)。
| 観点 | 技能講習 | 特別教育 |
|---|---|---|
| 法律の根拠 | 労働安全衛生法 第61条・第76条(就業制限・作業主任者) | 労働安全衛生法 第59条第3項 |
| 行う人 | 都道府県労働局に登録した講習機関 | 会社(外部の講習に頼んでもよい) |
| 修了試験 | ある(学科・実技) | 決まりはない |
| 証明 | 技能講習修了証が交付される | 会社が受講者・科目の記録を作り、3年間保存 |
| 作業中の携帯 | 修了証を持ち歩く義務がある | 法律上の携帯義務はない |
| 転職したとき | 修了証は全国どこでも使える | 新しい会社が改めて行う(十分な知識・技能がある科目は省略できる) |
| 受けていないと | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象(会社) | 同じく6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象(会社) |
特別教育は「会社が、その会社で働く人に行う教育」です。外部の団体の特別教育を受けて修了証のようなカードをもらうこともありますが、法律上は、そのカードを見て会社が記録を残し、必要な科目を省略できるかを判断する、という扱いになります。
特別教育が必要な業務の一覧と、時間・記録の決まりがわかる
- 労働安全衛生法 第59条第3項・第61条・第76条・第119条
- 労働安全衛生規則 第37条・第38条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

機械の大きさで分かれる境目の一覧
公道を走るときは、別に道路交通法の運転免許が必要です。
| 機械・作業 | 免許 | 技能講習 | 特別教育 |
|---|---|---|---|
| フォークリフト | — | 最大荷重1トン以上 | 1トン未満 |
| ショベルローダー・フォークローダー | — | 最大荷重1トン以上 | 1トン未満 |
| 不整地運搬車 | — | 最大積載量1トン以上 | 1トン未満 |
| 車両系建設機械(整地・掘削用など) | — | 機体重量3トン以上 | 3トン未満 |
| 高所作業車 | — | 作業床の高さ10m以上 | 10m未満 |
| 玉掛け | — | つり上げ荷重1トン以上 | 1トン未満 |
| 移動式クレーン | 5トン以上 | 1トン以上5トン未満(小型移動式クレーン) | 1トン未満 |
| クレーン(天井クレーンなど) | 5トン以上(床上操作式は技能講習でも可) | 床上操作式の5トン以上 | 5トン未満 |
当てはめ例
どれも架空の例です。運転と玉掛けのように、1つの作業で別々の資格が要ることがあります。
| 人の例(架空) | 必要なもの |
|---|---|
| 倉庫で最大荷重1.5トンのフォークリフトを運転する | フォークリフト運転技能講習 |
| 工場で2.8トンの天井クレーン(ペンダントスイッチ)を運転し、自分で玉掛けもする | クレーンの運転は特別教育(5トン未満)、玉掛けは技能講習(1トン以上) |
| 現場で作業床の高さ8mの高所作業車を使う | 高所作業車の特別教育(10m未満) |
- 労働安全衛生法施行令 第20条
- 労働安全衛生規則 第36条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

どちらが必要か迷ったときは
いいえ → 特別教育の対象業務(規則第36条)にあたるか確かめる
いいえ → 特別教育が必要
- □ 機械の銘板や仕様書で、最大荷重・つり上げ荷重・機体重量・作業床の高さを確かめた
- □ 技能講習が必要な人の修了証の写しを保管している
- □ 特別教育をした人の記録(受講者・科目)を3年間保存している
- □ 転職してきた人は、修了証の原本を確かめ、特別教育は必要な科目を行った
- □ 運転と玉掛けなど、作業ごとに別の資格が要らないか確かめた
義務(罰則あり) 技能講習が必要な業務に資格のない人を就かせること、特別教育をしないで対象業務に就かせることは、どちらも労働安全衛生法第119条の罰則の対象です。
- 労働安全衛生法 第59条第3項・第61条第1項・第119条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
まとめ:大きい機械は技能講習、小さい機械は特別教育
- 技能講習は登録された講習機関が行い、修了証が出て、全国で使えます。
- 特別教育は会社が行い、記録を3年間保存します。転職先では改めて行います。
- フォークリフト・玉掛けは1トン、高所作業車は10m、車両系建設機械は3トンが境目です。
- どちらも、受けさせずに作業させると罰則の対象です。
つまり、まず機械の大きさを銘板で確かめ、基準以上なら技能講習、未満なら特別教育を、作業の前に済ませておくことが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


