- 会社の健康診断の義務は、どこまであるのか知りたい
- パートや深夜勤務の人も対象なのか、何回行えばいいのか確かめたい
- 費用は会社持ちか、受診の時間は給料が出るのか気になる
- 会社の健康診断の種類と、対象になる人
- 頻度・費用・受診時間の決まり
- 健診のあとに会社がやること(通知・保存・意見聴取・報告)
会社は、常時使用する労働者に、雇い入れるときと1年以内ごとに1回、医師による健康診断を行う義務があります(労働安全衛生規則第43条・第44条)。深夜業などの特定業務の人は6か月以内ごとに1回、有害な業務の人には特殊健康診断も必要です。費用は会社が負担し、結果は本人に通知して5年間保存します。
働く人のほうにも、会社が行う健康診断を受ける義務があります(労働安全衛生法第66条第5項)。ただし、自分で選んだ医師の健康診断を受けて結果を提出することもできます。
- 労働安全衛生法 第66条(健康診断)
- 労働安全衛生規則 第43条・第44条・第45条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
会社が行う健康診断の種類
この表の見方:上の5つは「一般健康診断」、いちばん下が「特殊健康診断」です。
| 種類 | 対象になる人 | いつ |
|---|---|---|
| 雇入時の健康診断 | 常時使用する労働者を雇い入れるとき | 雇い入れるとき |
| 定期健康診断 | 常時使用する労働者(特定業務の人を除く) | 1年以内ごとに1回 |
| 特定業務従事者の健康診断 | 深夜業・暑熱・粉じんなど決められた業務に常時就く人 | 配置替えのときと6か月以内ごとに1回 |
| 海外派遣労働者の健康診断 | 海外に6か月以上派遣する人 | 派遣の前と、帰国して国内の業務に就くとき |
| 給食従業員の検便 | 社員食堂などで給食の業務をする人 | 雇い入れのときと配置替えのとき |
| 特殊健康診断 | 有機溶剤・特定化学物質・鉛・電離放射線などの有害な業務の人 | 業務ごとに決まった時期(多くは6か月以内ごと) |
「常時使用する労働者」には、正社員だけでなく、一定の条件を満たすパートタイマーも含まれます。目安として、期間の定めがない(または1年以上使う予定の)人で、週の労働時間が正社員の4分の3以上の人は対象になると、厚生労働省の通達(平成26年7月24日 基発0724第2号)で示されています。2分の1以上の人にも行うことが望ましいとされています。
- 労働安全衛生規則 第43条〜第47条
- 労働安全衛生法 第66条第2項(特殊健康診断)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

費用と受診時間の決まり
この表の見方:昭和47年9月18日基発第602号による扱いです。
| 項目 | 一般健康診断 | 特殊健康診断 |
|---|---|---|
| 費用 | 会社が負担する | 会社が負担する |
| 受診時間の賃金 | 会社が支払うことが望ましい(行政解釈) | 労働時間として扱う。時間外なら割増賃金 |
健康診断は法律で会社に義務づけられているので、費用は会社が負担します。かんたんに言うと「受けさせる義務がある会社が、費用も持つ」ということです。受診の時間の賃金は、一般健康診断では労使で話し合って決めることになりますが、支払うことが望ましいとされています。
- 昭和47年9月18日基発第602号(費用と受診時間の扱い)
- 埼玉県 労働相談Q&A「会社での健康診断について」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
健康診断のあとに会社がやること
結果を本人に知らせる。異常のない人も含めて、遅滞なく(事情が許すかぎり早く)通知します(規則第51条の4)。
記録を5年間保存する。健康診断個人票を作り、5年間保存します(規則第51条)。
異常があった人について医師の意見を聴く。どんな配慮が要るか、医師の意見を聴きます(法第66条の4)。
必要な措置をとる。意見をふまえて、作業の転換や労働時間の短縮などを考えます(法第66条の5)。
監督署に報告する(50人以上)。常時50人以上の事業場は、定期健康診断の結果を遅滞なく報告します(規則第52条)。
義務(罰則あり) 健康診断を行わないと、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象になります。
- 労働安全衛生法 第66条の3〜第66条の6・第120条
- 労働安全衛生規則 第51条・第51条の4・第52条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

当てはめ例と、年間の管理チェックリスト
この表の見方:どれも架空の例です。特定業務や有害な業務にあたるかは、条文で確かめます。
| 職場の例(架空) | 必要な健康診断 |
|---|---|
| 事務職だけの30人の会社 | 雇入時と、年1回の定期健康診断(監督署への報告は不要) |
| 夜勤のある80人の工場 | 定期健康診断に加え、夜勤の人は6か月ごとの特定業務従事者の健康診断。結果は監督署に報告 |
| シンナーで部品を洗う工場 | 一般健康診断に加え、有機溶剤の特殊健康診断 |
- □ 雇い入れた人の健康診断(または3か月以内の健診結果の提出)を確かめた
- □ 全員の定期健康診断の時期を決め、受けていない人を追いかけている
- □ 深夜業などの人は6か月ごとに受けている
- □ 結果を本人に通知し、個人票を5年間保存している
- □ 異常があった人について医師の意見を聴き、必要な措置をとった
- □ 50人以上の事業場は、結果を監督署に報告した
よくある質問
まとめ:雇入時・年1回・特定業務は半年ごと
- 会社は、常時使用する労働者に、雇入時と1年以内ごとに1回、健康診断を行う義務があります。
- 深夜業などの特定業務の人は6か月以内ごと、有害な業務の人は特殊健康診断も必要です。
- 費用は会社が負担します。特殊健康診断の時間は労働時間です。
- 結果は通知して5年保存し、異常があれば医師の意見を聴いて措置をとります。
つまり、まず社員を「一般・特定業務・有害業務」に分けて、それぞれの時期を年間の予定に入れておけば、受け漏れを防げます。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


