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特定化学物質作業主任者(特化物作業主任者)は、特定化学物質(第1類〜第3類)を製造し、または取り扱う作業で、作業の方法を決めて作業者を指揮する人です(労働安全衛生法施行令第6条第18号、特化則第27条)。原則として特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者から選びますが、エチルベンゼンなど特別有機溶剤の業務は有機溶剤作業主任者技能講習、金属アーク溶接は限定技能講習の修了者からも選べます。
知りたいことから:対象の物質と作業/作業ごとに必要な技能講習/4つの仕事
特定化学物質は、がんなどの重い健康障害や、急性の中毒を起こすおそれのある化学物質として、法律で決められたものです。かんたんに言うと、「とくに危ない化学物質を使う現場の、資格を持つ指揮者」です。
- 労働安全衛生法施行令 第6条第18号・別表第三
- 特定化学物質障害予防規則 第27条・第28条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」
- e-Gov法令検索「特定化学物質障害予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
対象の物質と作業
施行令別表第三から代表的なものを選びました。全部の物質は別表第三で確かめてください。
| 区分 | 特徴 | 代表的な物質の例 |
|---|---|---|
| 第1類物質 | がんなどの重い健康障害のおそれがとくに大きい(製造には許可が必要) | PCB(塩素化ビフェニル)、ベリリウム、ジクロルベンジジン |
| 第2類物質 | がんや慢性の中毒などのおそれがある | ベンゼン、ホルムアルデヒド、塩素、シアン化水素、クロム酸、マンガン、溶接ヒューム、エチルベンゼン、ジクロロメタン、スチレン |
| 第3類物質 | 大量にもれると急性の中毒を起こすおそれがある | アンモニア、一酸化炭素、塩化水素、硝酸、硫酸、フェノール |
これらの物質(決められた割合以上を含む製品を含みます)を製造し、または取り扱う作業で、作業主任者の選任が必要です。試験研究のための取扱いは除かれます。事業場の人数には関係ありません。
当てはめ例
どれも架空の例です。製品のSDSで、含まれている物質と割合を確かめましょう。
| 職場の例(架空) | 必要な作業主任者 |
|---|---|
| 金属加工の工場で、鉄の部材をアーク溶接している | 金属アーク溶接等作業主任者(限定技能講習)か、特定化学物質作業主任者 |
| 病院の病理検査室で、ホルムアルデヒドを使って標本を作る | 特定化学物質作業主任者 |
| 屋内の塗装ブースで、エチルベンゼンを含む塗料を吹き付ける | 特定化学物質作業主任者(有機溶剤作業主任者技能講習の修了者から選べる) |
- 労働安全衛生法施行令 第6条第18号・別表第三
- 特定化学物質障害予防規則 第2条・第2条の2
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」
- e-Gov法令検索「特定化学物質障害予防規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

作業ごとに必要な技能講習
限定技能講習の修了者は、金属アーク溶接等の作業でしか作業主任者になれません。
| 作業 | 選べる人(修了した技能講習) | 作業主任者の名前 |
|---|---|---|
| 特定化学物質を扱う作業(下の2つ以外) | 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習 | 特定化学物質作業主任者 |
| エチルベンゼン・クロロホルムなど特別有機溶剤を使う塗装・洗浄などの業務 | 有機溶剤作業主任者技能講習 | 特定化学物質作業主任者(特別有機溶剤等関係) |
| 金属アーク溶接・溶断・ガウジング(溶接ヒュームが出る作業) | 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習、または金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習 | 特定化学物質作業主任者、または金属アーク溶接等作業主任者 |
有機溶剤作業主任者の対象と仕事、特別有機溶剤との関係がわかる
- 特定化学物質障害予防規則 第27条
- 労働安全衛生規則 別表第1
- e-Gov法令検索「特定化学物質障害予防規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の内容を、前もって見ておきたいときの1冊です。中央労働災害防止協会の『特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者テキスト』第15版(2026年1月発行)は、技能講習用のテキストで、作業主任者の職務、健康障害と予防措置、作業環境の改善、保護具、関係法令の5編でできています(中災防の販売サイト・楽天ブックスの目次)。講習機関によって使う教材が違うことがあるので、講習の前に買うときは、申し込む機関に確かめてください。
作業主任者の4つの仕事と、会社がそろえるもの
| 仕事(特化則第28条) | 中身 |
|---|---|
| ① 作業の方法を決めて指揮する | 作業者が特定化学物質で汚れたり、吸い込んだりしないやり方を決め、指揮する |
| ② 装置を毎月点検する | 局所排気装置・プッシュプル型換気装置・除じん装置・排ガス処理装置・排液処理装置などを、1か月を超えない期間ごとに点検する |
| ③ 保護具の使い方を見る | 防毒マスク・防じんマスク・手袋などを正しく使っているか監視する |
| ④ タンクの中の作業を確かめる | タンクの内部で特別有機溶剤の業務をするとき、決められた措置がとられているか確かめる |
- □ 作業主任者を選び、氏名と職務を作業場に掲示した
- □ 局所排気装置などを設け、毎月の点検を記録している
- □ 第1類・第2類物質の作業場は、6か月以内ごとに濃度を測って記録している
- □ 常時従事する人に特殊健康診断をしている
- □ 金属アーク溶接の作業場では、溶接ヒュームの濃度を測り、有効な呼吸用保護具を使わせている
- □ 保護具を使わせるなら、保護具着用管理責任者も選んでいる
義務(罰則あり) 特定化学物質作業主任者を選任しないと、労働安全衛生法第119条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。
- 特定化学物質障害予防規則 第28条・第36条・第38条の21・第39条
- 労働安全衛生法 第14条・第119条
- e-Gov法令検索「特定化学物質障害予防規則」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問
まとめ:物質と作業で講習が変わる。4つの仕事は有機溶剤とほぼ同じ
- 特定化学物質作業主任者は、第1類〜第3類の特定化学物質を製造・取り扱う作業で必要です。
- 原則は特化物及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者から選びます。
- 特別有機溶剤は有機溶剤の講習、金属アーク溶接は限定技能講習の修了者からも選べます。
- 仕事は、作業の指揮、装置の毎月の点検、保護具の監視、タンク内の確認の4つです。
つまり、まず使っている製品のSDSで特定化学物質が含まれるかを確かめ、作業に合った講習の修了者を選ぶことが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


