定期健康診断の項目は、労働安全衛生規則第44条で決められた11項目です。既往歴・業務歴の調査、自覚症状・他覚症状の検査、身長・体重・腹囲・視力・聴力、胸部エックス線と喀痰、血圧、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、尿、心電図の検査で、このうち身長・腹囲・胸部エックス線・血液検査・心電図などは、厚生労働大臣が定める基準にもとづき、医師が必要でないと認めるときは省略できます。
知りたいことから:11項目の一覧/年齢別の早見表/医師が省略できる基準
この記事では、健康診断の項目を、何がわかるかと省略の基準まで表で整理します。省略は「若いから自動的に受けなくてよい」ではなく、基準にあてはまる人について医師が必要でないと判断したときにできるものです。
定期健康診断の11項目の一覧
常時使用する労働者に、1年以内ごとに1回行います。深夜業などの特定業務に常時従事する人は6か月以内ごとに1回です(規則第45条)。
| 項目(規則第44条) | 中身 | わかること |
|---|---|---|
| 1. 既往歴・業務歴の調査 | これまでの病気と、どんな仕事をしてきたか | 仕事と健康の関係を見る土台 |
| 2. 自覚症状・他覚症状の有無の検査 | 本人が感じる症状と、医師の診察 | 体調の変化 |
| 3. 身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査 | 聴力は1,000ヘルツと4,000ヘルツの音 | 肥満、メタボ、目や耳の働き |
| 4. 胸部エックス線検査・喀痰検査 | 肺のレントゲン、たんの検査 | 結核・肺の病気 |
| 5. 血圧の測定 | 上と下の血圧 | 高血圧(脳・心臓の病気の危険) |
| 6. 貧血検査 | 血色素量と赤血球数 | 貧血 |
| 7. 肝機能検査 | GOT・GPT・γ-GTP | 肝臓の働き、お酒の影響 |
| 8. 血中脂質検査 | LDLコレステロール・HDLコレステロール・血清トリグリセライド(中性脂肪) | 脂質異常症(動脈硬化の危険) |
| 9. 血糖検査 | 血液中の糖の量 | 糖尿病 |
| 10. 尿検査 | 尿の中の糖と蛋白 | 糖尿病、腎臓の病気 |
| 11. 心電図検査 | 心臓の電気の動き | 不整脈、心臓の病気 |
雇入れ時の健康診断との違い
雇入れ時の健康診断(規則第43条)も、ほぼ同じ11項目ですが、喀痰検査がなく、省略できる項目もありません(3か月以内に受けた健診の結果を出せば、その項目は省略できます)。
義務(罰則あり) 定期健康診断を行わないと、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象になります(法第66条第1項)。
- 労働安全衛生規則 第43条・第44条第1項・第45条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

医師が省略できる基準
次の表の人については、医師が必要でないと認めるときに、その項目を省略できます(規則第44条第2項、平成10年労働省告示第88号)。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)。省略できないのは、既往歴・業務歴の調査、自覚症状・他覚症状、体重、視力、聴力、血圧、尿の検査です。
| 項目 | 省略できる人(医師が必要でないと認めるとき) |
|---|---|
| 身長 | 20歳以上の人 |
| 腹囲 | ①40歳未満の人(35歳を除く) ②妊娠中の女性など、腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された人 ③BMIが20未満の人 ④自分で腹囲を測って申告した人(BMIが22未満に限る) |
| 胸部エックス線 | 40歳未満の人(20歳・25歳・30歳・35歳を除く)で、学校・病院・社会福祉施設などで働く人や、粉じん作業の一定の人にあたらない人 |
| 喀痰 | 胸部エックス線で病変が見つからない人、結核発病のおそれがないと診断された人、胸部エックス線を省略できる人 |
| 貧血・肝機能・血中脂質・血糖・心電図 | 40歳未満の人(35歳を除く) |
聴力は省略できませんが、45歳未満の人(35歳・40歳を除く)は、医師が適当と認める方法の聴力検査に代えることができます(規則第44条第4項)。
- 労働安全衛生規則 第44条第2項・第4項
- 東京労働局「健康診断を実施しましょう」(省略基準の表)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 東京労働局「健康診断を実施しましょう」(省略基準の表)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

年齢別の早見表
血液検査は、貧血・肝機能・血中脂質・血糖の検査です。どれも「省略できることがある」で、最終的には医師が判断します。
| 年齢 | 省略できることがある項目(医師の判断) | 必ず受ける節目 |
|---|---|---|
| 20歳・25歳・30歳 | 身長(20歳以上)、腹囲(BMIなどの条件)、血液検査・心電図 | 胸部エックス線は受ける |
| 35歳 | 身長 | 腹囲・胸部エックス線・血液検査・心電図を受ける |
| 上記以外の40歳未満 | 身長、腹囲、胸部エックス線・喀痰(条件あり)、血液検査・心電図 | — |
| 40歳以上 | 身長、腹囲(BMIなどの条件)、喀痰(条件あり) | 胸部エックス線・血液検査・心電図を受ける |
当てはめ例
どれも架空の例です。
| 人の例(架空) | 受ける項目の考え方 |
|---|---|
| 28歳の事務職の社員 | 身長・腹囲・胸部エックス線・血液検査・心電図は、医師の判断で省略できることがある |
| 35歳の社員 | 35歳は節目なので、腹囲・胸部エックス線・血液検査・心電図を受ける |
| 32歳の介護施設の職員 | 社会福祉施設で働くので、胸部エックス線は省略できない |
- □ 常時使用する労働者全員(パートを含む一定の人)に、年1回の健診を予定した
- □ 健診機関のコースが規則第44条の11項目を満たしているか確かめた
- □ 省略するときは、医師が判断したことがわかるようにしている
- □ 35歳と40歳以上の人は、血液検査・心電図などを受けている
- □ 健康診断個人票を5年間保存している
- 労働安全衛生規則 第44条・第51条
- 東京労働局「健康診断を実施しましょう」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 東京労働局「健康診断を実施しましょう」(省略基準の表)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問
まとめ:11項目が基本。省略は基準と医師の判断で
- 定期健康診断は、規則第44条の11項目を1年以内ごとに1回行います。
- 身長・腹囲・胸部エックス線・喀痰・血液検査・心電図は、基準にあてはまれば医師の判断で省略できます。
- 35歳と40歳以上は、血液検査・心電図などを受ける節目です。
- 雇入れ時の健康診断には、省略の基準がありません。
つまり、健診機関のコースが11項目を満たしているかを確かめ、省略は年齢だけで決めずに医師に判断してもらうことが大切です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


