- 社員が仕事中にけがをして休むことになった。給料はどうなるのか知りたい
- 「待期3日」の間は、会社が払うのか知りたい
- 休業補償の金額を、実際に計算してみたい
- 休業補償のしくみ(4日目から労災保険、最初の3日は会社)
- 平均賃金と、給付の金額の計算例
- 会社の担当者がやる手続き
仕事のけがや病気で休んで賃金が出ない日は、4日目から労災保険の休業補償給付(給付基礎日額の60%)と休業特別支給金(20%)が出て、合わせて約8割になります。最初の3日間(待期期間)は労災保険から出ないため、会社が労働基準法第76条により平均賃金の60%を補償します。
「待期(たいき)」は、給付が始まるまでの待ちの期間という意味です。かんたんに言うと、最初の3日分は会社、4日目からは国の労災保険、という分担です。
- 労働基準法 第76条(休業補償)
- 労働者災害補償保険法 第14条(休業補償給付)
- 労働者災害補償保険特別支給金支給規則 第3条(休業特別支給金)
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険特別支給金支給規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
休業補償のしくみ:最初の3日は会社、4日目から労災保険
この表の見方:上から時間の順です。4日目からは2つの給付を合わせて約80%になります。
| 期間 | 誰が払うか | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1日目〜3日目(待期期間) | 会社 | 平均賃金の60% | 労働基準法 第76条 |
| 4日目から | 労災保険 | 休業補償給付:給付基礎日額の60% | 労災保険法 第14条 |
| 4日目から | 労災保険 | 休業特別支給金:給付基礎日額の20% | 特別支給金支給規則 第3条 |
労働基準法は、会社に平均賃金の60%の休業補償を義務づけています(第76条)。ただし、労災保険から同じ給付が出る場合、会社はその分の補償の責任を免れます(第84条)。労災保険の休業補償給付は4日目からなので、最初の3日分だけが会社に残る、というしくみです。
通勤中のけが(通勤災害)は、4日目から労災保険の休業給付が出ますが、最初の3日間について会社に補償の義務はありません。労働基準法の休業補償は、仕事が原因のけがや病気(業務災害)が対象だからです。
- 労働基準法 第76条・第84条
- 労働者災害補償保険法 第7条・第14条
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

計算例:月給30万円の人が10日休んだ場合
次の架空の例で、途中の計算を省かずに見てみます。
STEP 1:平均賃金(給付基礎日額)を出す
平均賃金は「直前3か月の賃金の総額 ÷ その期間の総日数」です(労働基準法第12条)。労災保険の給付基礎日額も、この平均賃金に相当する額です(労災保険法第8条)。
900,000円 ÷ 90日 = 10,000円
STEP 2:1日あたりの金額を出す
| お金 | 計算 | 1日あたり |
|---|---|---|
| 会社の休業補償(1〜3日目) | 10,000円 × 60% | 6,000円 |
| 休業補償給付(4日目から) | 10,000円 × 60% | 6,000円 |
| 休業特別支給金(4日目から) | 10,000円 × 20% | 2,000円 |
STEP 3:10日分を合計する
| 期間 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 1〜3日目(会社) | 6,000円 × 3日 | 18,000円 |
| 4〜10日目(休業補償給付) | 6,000円 × 7日 | 42,000円 |
| 4〜10日目(休業特別支給金) | 2,000円 × 7日 | 14,000円 |
| 合計 | 18,000円+42,000円+14,000円 | 74,000円 |
つまり、10日休んだ場合、本人が受け取るのは合計74,000円で、そのうち18,000円を会社が払い、56,000円が労災保険から出ます。
これは考え方を示すための計算例です。実際の平均賃金は、締切日・休んだ期間・ボーナスの扱いなどで変わり、端数の処理もあります。実際の給付額は、労働基準監督署の決定によります。
- 労働基準法 第12条(平均賃金)
- 労働者災害補償保険法 第8条(給付基礎日額)
- e-Gov法令検索「労働基準法」
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

会社の担当者がやること
労働者死傷病報告を出す。休業が4日以上なら、遅滞なく(事情が許すかぎり早く)、所轄の労働基準監督署に出します(労働安全衛生規則第97条)。
最初の3日分を補償する。業務災害なら、平均賃金の60%を会社が払います(労働基準法第76条)。
休業補償給付の請求を手伝う。本人が労働基準監督署に請求します。会社は、請求書の事業主の証明欄(けがの日時や状況など)を書きます。医師の証明も必要です。
休みが続く間、定期的に請求する。請求は、休んだ期間ごとにまとめて行うのが一般的です。本人と担当者で予定を決めておきます。
- □ けがの日時・場所・状況を記録した
- □ 休業4日以上の労働者死傷病報告を出した(電子申請)
- □ 最初の3日分の休業補償(平均賃金の60%)を払う段取りをした
- □ 平均賃金の計算に使う、直前3か月の賃金を確認した
- □ 休業補償給付の請求書の事業主証明を書いた
- 労働安全衛生規則 第97条(労働者死傷病報告)
- 労働基準法 第76条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- e-Gov法令検索「労働基準法」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問
まとめ:3日は会社、4日目から約8割
- 最初の3日間(待期期間)は労災保険から出ないので、業務災害なら会社が平均賃金の60%を補償します。
- 4日目からは、休業補償給付60%と休業特別支給金20%で、合わせて約8割が出ます。
- 平均賃金は、直前3か月の賃金の総額÷総日数で出します。
- 休業4日以上なら、労働者死傷病報告も遅滞なく出します。
つまり、けがで休む人が出たら、まず3日分の補償と死傷病報告を進め、4日目からの請求は本人と一緒に準備する、という順番です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


