労災が起きたときの会社の対応|当日から報告・補償・再発防止まで

労災が起きたときの会社の対応を示す図解。けがをした作業者を助ける上司と救急車のアイキャッチ 労働災害の対応
お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 職場でけが人が出た。まず何をすればいいのかわからない
  • 病院で健康保険を使っていいのか、会社はどこに何を報告するのか知りたい
  • 休んでいる間の給料や、再発防止まで、やることを順番に知りたい
この記事でわかること
  • 労災が起きたときの会社の対応(当日→数日以内→1か月以内)
  • 報告・補償・記録の決まり
  • コピーして使える対応チェックリスト
結論|まず30秒でわかる答え

労災が起きたら、①けが人の救護と必要なら119番、②病院では健康保険を使わず労災と伝える、③現場と状況を記録する、④休業4日以上なら労働者死傷病報告を遅滞なく出す、⑤最初の3日分の休業補償と労災保険の請求を手伝う、⑥原因を調べて再発を防ぐ、の順に進めます。

注意|ここで間違えやすい

けがの具合がわからないとき、意識がおかしいとき、大量に出血しているときは、ためらわず119番に通報してください。救護がすべてに優先します。

「労災(労働災害)」は、仕事が原因のけがや病気のことです。かんたんに言うと、会社は「助ける・記録する・報告する・補償する・繰り返さない」の5つを順番に行います。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

当日にやること

STEP 1

救護する。けが人を安全な場所に移し、応急手当をします。必要なら119番。二次災害(機械がまだ動いている、ガスが漏れているなど)を防ぐため、機械を止めます。

STEP 2

病院に「労災」と伝える。仕事のけがには健康保険は使えません(健康保険法第1条)。受付で労災であることを伝えます。労災保険の指定医療機関なら、窓口での支払いなしで治療を受けられます。

STEP 3

現場と状況を記録する。いつ・どこで・何の作業中に・どうなったかを、写真やメモで残します。見ていた人の話も聞いておきます。

STEP 4

上司と担当者に連絡する。安全衛生の担当者や総務に連絡し、家族への連絡も行います。

注意|ここで間違えやすい

「健康保険で治療してもらえばいい」は間違いです。あとから労災に切り替える手続きが必要になり、けがをした人にも手間がかかります。最初から労災として扱いましょう。

記録しておく項目

この表の見方:どれも架空の例です。あとで労働者死傷病報告や労災保険の請求に、この記録を使います。

項目例
日時と場所10月20日 午前10時ごろ、第2倉庫の出荷場
作業の内容手で段ボール箱(約15キログラム)を棚から下ろしていた
何が起きたか箱が手から滑り、右足の甲に落ちた
けがの部位と状態右足の甲の打撲。病院で骨折と診断
見ていた人と状況同じ班の2人。床に段ボールの破片があり、足元が滑りやすかった
根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

労災の当日にやることの図。救護、病院で労災と伝える、記録、連絡

数日以内にやること:報告と補償

この表の見方:休業がない(その日のうちに仕事に戻った)けがは、死傷病報告の対象外です。記録は残しておきましょう。

手続き中身期限
労働者死傷病報告(休業4日以上・死亡)所轄の労働基準監督署に、電子申請で報告する遅滞なく(事情が許すかぎり早く)
労働者死傷病報告(休業1〜3日)3か月分をまとめて報告する1〜3月分は4月末まで、など
最初の3日分の休業補償平均賃金の60%を会社が払う(業務災害の場合)給料の支払いにあわせて
労災保険の請求の手伝い療養・休業の請求書の事業主証明を書くけがをした人が請求するときに
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けが人がいなくても、火災・爆発、クレーンの倒壊、ボイラーの破裂など、決められた事故が起きたときは「事故報告」を監督署に出します(規則第96条)。

義務(罰則あり) 労災を報告しない、うその報告をする(いわゆる「労災隠し」)と、労働安全衛生法第100条の違反として、第120条により50万円以下の罰金の対象になります。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

労災の報告と補償の期限の図。休業4日以上は遅滞なく報告、1〜3日は3か月ごと、最初の3日は会社が補償

1か月以内にやること:再発防止

STEP 1

原因を調べる。人・設備・作業方法・管理の4つの面から、なぜ起きたかを調べます。「本人の不注意」で終わらせません。

STEP 2

対策を決める。危険をなくす、設備で守る、ルールと教育、保護具の順に考えます。

STEP 3

職場に知らせる。何が起きて、何を変えたかを、朝礼や安全衛生委員会で共有します。

STEP 4

ほかの職場も確かめる。同じ危険がほかの場所にないかを確かめます。

休業している間とその後30日間は、そのけがをした人を解雇してはいけません(労働基準法第19条)。職場に戻るときは、けがの具合にあわせて作業を調整しましょう。

ひな形|コピーして使えます
労災が起きたときの対応チェックリスト
発生日時:[  年  月  日  時] 場所:[    ] けがをした人:[    ] 【当日】  □ 救護した/119番した(必要なとき)  □ 機械を止め、二次災害を防いだ  □ 病院に「労災」と伝えた(健康保険は使わない)  □ 現場の写真、状況のメモ、見ていた人の話を残した  □ 上司・担当者・家族に連絡した 【数日以内】  □ 休業4日以上:労働者死傷病報告を電子申請で出した(日付:[    ])  □ 休業1〜3日:3か月ごとの報告に入れた  □ 最初の3日分の休業補償(平均賃金の60%)を払う段取りをした  □ 労災保険の請求書の事業主証明を書いた 【1か月以内】  □ 原因を調べ、対策を決めた  □ 職場と安全衛生委員会で共有した  □ ほかの職場に同じ危険がないか確かめた

自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。

労災の再発防止の流れの図。原因を調べる、対策を決める、共有する、ほかの職場も確かめる

よくある質問

Q. 労災が起きたら会社はまず何をしますか?

A. けが人を救護し、必要なら119番します。そのうえで機械を止めて二次災害を防ぎ、状況を記録します。

Q. 労災のけがに健康保険は使えますか?

A. 使えません。健康保険は仕事以外のけがや病気が対象です。病院では労災であることを伝えます。

Q. 労働者死傷病報告はいつまでに出しますか?

A. 休業4日以上は遅滞なく出します。休業1〜3日は、3か月分をまとめて翌月末までに出します。

Q. 労災で休む人の給料はどうなりますか?

A. 最初の3日は会社が平均賃金の60%を補償し、4日目からは労災保険から約8割が出ます。

Q. 労災を報告しないとどうなりますか?

A. 労災隠しとして、50万円以下の罰金の対象になります。けがの大小に関係なく、正しく報告しましょう。

まとめ:助ける・記録する・報告する・補償する・繰り返さない

POINT
  • 当日は救護と119番、病院では労災と伝え、現場と状況を記録します。
  • 休業4日以上は労働者死傷病報告を遅滞なく、1〜3日は3か月ごとに出します。
  • 最初の3日分は会社が休業補償し、4日目からは労災保険の請求を手伝います。
  • 原因を調べて対策を決め、職場で共有します。

つまり、このチェックリストを事務所に1枚置いておけば、もしものときにも順番どおりに動けます。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。

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