はさまれ・巻き込まれ災害の防止|機械の対策を本質安全化から順に

はさまれ・巻き込まれ災害の防止を示す図解。覆いのついたベルトコンベヤと錠をかけたスイッチのアイキャッチ 作業別の災害防止
お悩み
こんなふうに思っていませんか?
  • 工場ではさまれ・巻き込まれの事故を防ぎたいが、何から手をつければいいかわからない
  • 掃除や修理のとき、機械を止めるだけで十分なのか知りたい
  • 安全装置を外して作業している人がいて、どう指導すればいいか困っている
この記事でわかること
  • はさまれ・巻き込まれが起きるしくみ
  • 対策の4段階(本質安全化から服装まで)
  • 掃除・修理のときの決まりと、現場のチェックリスト
結論|まず30秒でわかる答え

はさまれ・巻き込まれ災害は、動いている機械に手や体、服が入ることで起きます。対策は、①危ない動きそのものをなくす(本質安全化)、②覆い・囲い・安全装置で人が入れないようにする、③掃除や修理のときは運転を止めて錠をかける、④巻き込まれにくい服装にする、の順に考えます(労働安全衛生規則第101条・第107条など)。

「はさまれ」は機械の部品と部品のあいだに体がはさまること、「巻き込まれ」は回転する部分に服や手袋、髪が引き込まれることです。どちらも、機械が動いている場所に体が入ったときに起きます。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

はさまれ・巻き込まれが起きる場面

この表の見方:どれも「機械が動く場所に体が入る」ことが原因です。

場面よくある例
ふだんの作業中ベルトコンベヤの詰まりを、動いたまま手で取ろうとする
掃除・点検・調整中止めたつもりの機械を、別の人が動かしてしまう
回転する刃物のそばボール盤で手袋が刃に巻き込まれる
安全装置を外したとき作業しにくいので安全カバーを外したまま使う
POINT

はさまれ・巻き込まれは「注意していれば防げる」と思われがちですが、慣れや急ぎで、だれでも手を入れてしまいます。だから人の注意ではなく、機械や手順で防ぐことが大切です。

はさまれ・巻き込まれが起きる場面の図。動いているコンベヤに手を入れる、ボール盤に手袋が巻き込まれる

対策の4段階

この表の見方:上ほど、人の注意にたよらずに守れる対策です。厚生労働省の機械の安全基準の指針も、この順番を示しています。

段階中身例
1. 本質安全化危ない動きや隙間そのものをなくす・小さくするはさまれない隙間に設計する、力や速さを下げる
2. 覆い・囲い・安全装置人が危ない場所に入れないようにする。入ったら止まるようにする回転部の覆い、安全柵、光線式安全装置、インターロック
3. 止める・錠・表示掃除や修理のときは運転を止め、ほかの人が動かせないようにする起動スイッチに錠と表示板
4. 服装と保護具巻き込まれにくい服装にするそで口の締まった作業服、作業帽。回転する刃物のそばでは手袋をしない
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義務(罰則あり) 原動機・回転軸・歯車・プーリー・ベルトなど、危ない部分には覆い・囲いなどを設けなければなりません(規則第101条)。プレス・シャーには安全囲いや安全装置(規則第131条)、産業用ロボットにはさくや囲い(規則第150条の4)が必要です。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

はさまれ・巻き込まれ対策の4段階の図。本質安全化、覆い・安全装置、止める・錠、服装

掃除・修理のときは「止める・錠・表示」

機械の掃除・給油・検査・修理・調整で危険があるときは、運転を止めなければなりません。止めたら、起動装置に錠をかけ、表示板を付けるなどして、ほかの人が動かせないようにします(規則第107条)。刃の部分の掃除や交換も同じです(規則第108条)。

STEP 1

止める。機械の運転を止め、動きが完全に止まったことを確かめます。

STEP 2

錠をかける。起動スイッチや電源に錠をかけ、鍵は作業する本人が持ちます。

STEP 3

表示する。「作業中・運転禁止」などの表示板を付けます。

STEP 4

確かめる。スイッチを入れても動かないことを確かめてから、手を入れます。

STEP 5

戻すときに知らせる。作業が終わったら周りに知らせ、合図をしてから運転を始めます(規則第104条)。

注意|ここで間違えやすい

安全装置やカバーは、勝手に外してはいけません。外す必要があるときは事前に会社の許可を受け、終わったらすぐに元に戻します。外れているのを見つけたら、すぐに申し出ます(規則第29条)。会社は、安全装置がいつも有効に働くよう点検・整備します(規則第28条)。

根拠

法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

掃除や修理の前に、機械を止め、錠をかけ、表示し、動かないことを確かめる手順の図

当てはめ例と、巡回チェックリスト

この表の見方:どれも架空の例です。

職場の例(架空)対策
食品工場のベルトコンベヤで、詰まりを手で取っていた非常停止スイッチをそばに付け、止めて錠をかけてから取る手順にする。詰まりにくい形に改める
金属加工のボール盤で、軍手をはめて作業していた手袋を禁止する(規則第111条)。切粉はブラシで払う
プレス機の安全装置を、生産を急いで切っていた安全装置を元に戻し、切れないように管理する。外すときは許可制にする
はさまれ・巻き込まれ防止の巡回チェックリスト
  • □ 回転軸・歯車・ベルト・プーリーに覆いや囲いがある
  • □ 安全装置・カバーが外されたり、切られたりしていない
  • □ 掃除・修理のときに、止める・錠・表示の手順がある
  • □ 錠と表示板が、機械のそばに用意されている
  • □ ボール盤など回転する刃物のそばで、手袋をしていない
  • □ そで口が締まった作業服と作業帽を着ている

よくある質問

Q. はさまれ・巻き込まれ災害を防ぐには?

A. 危ない動きをなくす、覆いや安全装置で入れないようにする、掃除のときは止めて錠をかける、服装を整える、の順に対策します。

Q. 機械の掃除のとき、止めるだけで十分ですか?

A. 十分ではありません。起動装置に錠をかけ、表示板を付けるなどして、ほかの人が動かせないようにします。

Q. ボール盤で手袋をしてはいけないのはなぜ?

A. 手袋が回転する刃に巻き込まれ、手ごと引き込まれるおそれがあるからです。規則で使わせてはいけないと決まっています。

Q. 安全装置を外して作業してもいいですか?

A. 勝手に外してはいけません。必要なときは事前に会社の許可を受け、終わったらすぐに元に戻します。

Q. はさまれと巻き込まれの違いは?

A. はさまれは部品の間に体がはさまること、巻き込まれは回転部に服や手袋が引き込まれることです。

まとめ:入れない・止める・外さない

POINT
  • はさまれ・巻き込まれは、動く機械に体や服が入ることで起きます。
  • 対策は、本質安全化→覆い・安全装置→止める・錠・表示→服装の順です。
  • 掃除・修理のときは運転を止め、錠と表示板でほかの人が動かせないようにします。
  • 安全装置は勝手に外さず、ボール盤などでは手袋をしません。

つまり、「入れない設備」「止めてから触る手順」「外さないルール」の3つをそろえれば、はさまれ・巻き込まれの多くは防げます。

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シラス
電験三種・QC検定1級 / メーカーでパワエレ設計・品質保証 実務10年

メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。

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