- 工場ではさまれ・巻き込まれの事故を防ぎたいが、何から手をつければいいかわからない
- 掃除や修理のとき、機械を止めるだけで十分なのか知りたい
- 安全装置を外して作業している人がいて、どう指導すればいいか困っている
- はさまれ・巻き込まれが起きるしくみ
- 対策の4段階(本質安全化から服装まで)
- 掃除・修理のときの決まりと、現場のチェックリスト
はさまれ・巻き込まれ災害は、動いている機械に手や体、服が入ることで起きます。対策は、①危ない動きそのものをなくす(本質安全化)、②覆い・囲い・安全装置で人が入れないようにする、③掃除や修理のときは運転を止めて錠をかける、④巻き込まれにくい服装にする、の順に考えます(労働安全衛生規則第101条・第107条など)。
「はさまれ」は機械の部品と部品のあいだに体がはさまること、「巻き込まれ」は回転する部分に服や手袋、髪が引き込まれることです。どちらも、機械が動いている場所に体が入ったときに起きます。
- 労働安全衛生規則 第101条(原動機・回転軸等による危険の防止)・第107条(掃除等の場合の運転停止等)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
はさまれ・巻き込まれが起きる場面
この表の見方:どれも「機械が動く場所に体が入る」ことが原因です。
| 場面 | よくある例 |
|---|---|
| ふだんの作業中 | ベルトコンベヤの詰まりを、動いたまま手で取ろうとする |
| 掃除・点検・調整中 | 止めたつもりの機械を、別の人が動かしてしまう |
| 回転する刃物のそば | ボール盤で手袋が刃に巻き込まれる |
| 安全装置を外したとき | 作業しにくいので安全カバーを外したまま使う |
はさまれ・巻き込まれは「注意していれば防げる」と思われがちですが、慣れや急ぎで、だれでも手を入れてしまいます。だから人の注意ではなく、機械や手順で防ぐことが大切です。

対策の4段階
この表の見方:上ほど、人の注意にたよらずに守れる対策です。厚生労働省の機械の安全基準の指針も、この順番を示しています。
| 段階 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 1. 本質安全化 | 危ない動きや隙間そのものをなくす・小さくする | はさまれない隙間に設計する、力や速さを下げる |
| 2. 覆い・囲い・安全装置 | 人が危ない場所に入れないようにする。入ったら止まるようにする | 回転部の覆い、安全柵、光線式安全装置、インターロック |
| 3. 止める・錠・表示 | 掃除や修理のときは運転を止め、ほかの人が動かせないようにする | 起動スイッチに錠と表示板 |
| 4. 服装と保護具 | 巻き込まれにくい服装にする | そで口の締まった作業服、作業帽。回転する刃物のそばでは手袋をしない |
扉を開けると機械が止まる、インターロックのしくみがわかる
義務(罰則あり) 原動機・回転軸・歯車・プーリー・ベルトなど、危ない部分には覆い・囲いなどを設けなければなりません(規則第101条)。プレス・シャーには安全囲いや安全装置(規則第131条)、産業用ロボットにはさくや囲い(規則第150条の4)が必要です。
- 労働安全衛生規則 第101条・第110条・第111条・第131条・第150条の4
- 機械の包括的な安全基準に関する指針の解説
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
- 厚生労働省「「機械の包括的な安全基準に関する指針」の解説等について」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

掃除・修理のときは「止める・錠・表示」
機械の掃除・給油・検査・修理・調整で危険があるときは、運転を止めなければなりません。止めたら、起動装置に錠をかけ、表示板を付けるなどして、ほかの人が動かせないようにします(規則第107条)。刃の部分の掃除や交換も同じです(規則第108条)。
止める。機械の運転を止め、動きが完全に止まったことを確かめます。
錠をかける。起動スイッチや電源に錠をかけ、鍵は作業する本人が持ちます。
表示する。「作業中・運転禁止」などの表示板を付けます。
確かめる。スイッチを入れても動かないことを確かめてから、手を入れます。
戻すときに知らせる。作業が終わったら周りに知らせ、合図をしてから運転を始めます(規則第104条)。
安全装置やカバーは、勝手に外してはいけません。外す必要があるときは事前に会社の許可を受け、終わったらすぐに元に戻します。外れているのを見つけたら、すぐに申し出ます(規則第29条)。会社は、安全装置がいつも有効に働くよう点検・整備します(規則第28条)。
- 労働安全衛生規則 第28条・第29条・第104条・第107条・第108条
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

当てはめ例と、巡回チェックリスト
この表の見方:どれも架空の例です。
| 職場の例(架空) | 対策 |
|---|---|
| 食品工場のベルトコンベヤで、詰まりを手で取っていた | 非常停止スイッチをそばに付け、止めて錠をかけてから取る手順にする。詰まりにくい形に改める |
| 金属加工のボール盤で、軍手をはめて作業していた | 手袋を禁止する(規則第111条)。切粉はブラシで払う |
| プレス機の安全装置を、生産を急いで切っていた | 安全装置を元に戻し、切れないように管理する。外すときは許可制にする |
- □ 回転軸・歯車・ベルト・プーリーに覆いや囲いがある
- □ 安全装置・カバーが外されたり、切られたりしていない
- □ 掃除・修理のときに、止める・錠・表示の手順がある
- □ 錠と表示板が、機械のそばに用意されている
- □ ボール盤など回転する刃物のそばで、手袋をしていない
- □ そで口が締まった作業服と作業帽を着ている
よくある質問
まとめ:入れない・止める・外さない
- はさまれ・巻き込まれは、動く機械に体や服が入ることで起きます。
- 対策は、本質安全化→覆い・安全装置→止める・錠・表示→服装の順です。
- 掃除・修理のときは運転を止め、錠と表示板でほかの人が動かせないようにします。
- 安全装置は勝手に外さず、ボール盤などでは手袋をしません。
つまり、「入れない設備」「止めてから触る手順」「外さないルール」の3つをそろえれば、はさまれ・巻き込まれの多くは防げます。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


