- リスクアセスメントとは何か、KYTやヒヤリハットと何が違うのかわからない
- やらないといけない法律の決まりなのか知りたい
- 実際にどう進めて、どう書けばいいのか例がほしい
- リスクアセスメントとは何か、法律上の位置づけ
- 進め方の5ステップと、見積もり表の例
- 対策の優先順位と、コピーして使える表
リスクアセスメントは、職場の危険を見つけ出し、「けがの重さ」と「起こりやすさ」でリスクを見積もり、大きいものから対策していく手法です。製造業・建設業などでは労働安全衛生法第28条の2で努力義務、化学物質(リスクアセスメント対象物)については第57条の3で義務になっています。
「リスク」は、けがや病気がどれくらい重く、どれくらい起こりやすいかを合わせたものです。かんたんに言うと、「危ないところに順番をつけて、大きい順に手を打つ」ための方法です。
- 労働安全衛生法 第28条の2(事業者の行うべき調査等)・第57条の3(化学物質の調査)
- 危険性又は有害性等の調査等に関する指針(平成18年3月10日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- 厚生労働省「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」の公示(平成18年3月10日)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。
リスクアセスメントとは:KYT・ヒヤリハットとの違い
この表の見方:3つは役割が違い、組み合わせて使います。ヒヤリハットで見つけた危険を、リスクアセスメントで見積もって対策する、という流れが基本です。
| リスクアセスメント | KYT(危険予知訓練) | ヒヤリハット | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 危険に順番をつけ、設備や作業方法を改める | その日の作業の危険に気づく力をつける | 起きかけたことを集めて、危険を見つける |
| だれが | 管理者と現場の人で、時間をかけて | 作業する人のチームで、短く | 気づいた人が報告する |
| いつ | 設備や作業を新しくする・変えるとき | 毎日の朝礼・作業前 | ヒヤリとしたとき |
法律上の位置づけ
| 対象 | 強さ | 根拠 |
|---|---|---|
| 化学物質(リスクアセスメント対象物) | 義務 | 法第57条の3 |
| 機械・作業など(製造業・建設業・運送業・林業・鉱業・清掃業・電気業など) | 努力義務 | 法第28条の2、規則第24条の11 |
| 上の業種以外の機械・作業 | 法律の決まりはない(行うことが望ましい) | — |
- 労働安全衛生法 第28条の2・第57条の3
- 労働安全衛生規則 第24条の11第2項(対象の業種)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

リスクアセスメントの進め方:5つのステップ
厚生労働省の指針では、次の順番で進めます。
危険を見つける。作業ごとに、「何が・どうなって・どんなけがになるか」を書き出します(危険性又は有害性の特定)。
リスクを見積もる。けがの重さと起こりやすさを組み合わせて、リスクの大きさを決めます。
優先順位を決め、対策を考える。リスクの大きいものから、対策を考えます。
対策を実施する。決めた対策を実行し、リスクが下がったかを確かめます。
記録して見直す。結果を記録し、設備や作業が変わったときに見直します。
実施する時期は、建物や設備を新しくする・変えるとき、原材料や作業方法を新しくする・変えるときなどです(規則第24条の11)。つまり、「何かを変えるとき」が、リスクアセスメントのタイミングです。
- 危険性又は有害性等の調査等に関する指針
- 労働安全衛生規則 第24条の11第1項(実施の時期)
- 厚生労働省「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」の公示(平成18年3月10日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

見積もりの例:3×3の表
見積もりの方法は指針では決められておらず、会社ごとに決めてかまいません。よく使われるのは、けがの重さと起こりやすさを点数にして組み合わせる方法です。次は一例です。
この表の見方:重さ×起こりやすさ=リスクの点数です。点数の区切りは会社で決めます(例:6以上はすぐ対策)。
| 起こりやすさ:ほとんどない(1) | ときどき(2) | よくある(3) | |
|---|---|---|---|
| 重さ:軽いけが(1) | 1(低い) | 2(低い) | 3(中くらい) |
| 休業するけが(2) | 2(低い) | 4(中くらい) | 6(高い) |
| 死亡・後遺障害(3) | 3(中くらい) | 6(高い) | 9(とても高い) |
記入例:プレス機の金型を交換する作業(架空の例)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 危険(何が・どうなって) | 金型の交換中に、別の人がスイッチを入れ、スライドが下りて手がはさまれる |
| 重さ・起こりやすさ | 重さ3(指の切断)×起こりやすさ2(ときどき)=6(高い) |
| 対策 | 交換の前に電源を切って錠をかけ、表示板をつける。安全ブロックを入れる |
| 対策後 | 重さ3×起こりやすさ1=3(中くらい) |
はさまれ事故を防ぐしくみ、インターロックのしくみがわかる

対策の優先順位
指針では、対策を次の順番で考えるよう示されています。上の対策ほど、人の注意にたよらずにリスクを下げられます。
| 順番 | 対策 | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 危険そのものをなくす・小さくする(本質的対策) | 危ない作業をやめる、危険の少ない材料に替える |
| 2 | 設備で守る(工学的対策) | ガードやインターロック、局所排気装置をつける |
| 3 | ルールと教育で守る(管理的対策) | 作業手順書、立入禁止、教育・訓練 |
| 4 | 保護具で守る | 保護めがね、手袋、マスク(1〜3で残った危険に対して) |
いきなり「保護具を着ける」「気をつける」で終わらせるのは、よくある失敗です。まず1と2でできることがないかを考えましょう。
自社の実情に合わせて書き換えて使ってください。
- 危険性又は有害性等の調査等に関する指針(リスク低減措置の優先順位)
- 厚生労働省「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」の公示(平成18年3月10日)
法令の確認時点:2026年10月。改正されることがあるため、最終的な判断は所轄の労働基準監督署に確認してください。

よくある質問
まとめ:見つけて、見積もって、大きい順に対策
- リスクアセスメントは、危険を見つけてリスクを見積もり、大きい順に対策する手法です。
- 化学物質は義務、製造業・建設業などの機械や作業は努力義務です。
- 進め方は、見つける→見積もる→優先順位と対策→実施→記録の5ステップです。
- 対策は、なくす→設備→ルール→保護具の順に考えます。
つまり、設備や作業を変えるときに、この表で危険を書き出して点数をつけ、点数の高いものから設備で守る対策を考えるのが基本です。
メーカーで回路設計と生産技術(品質改善)に携わってきた経験をもとに、職場の安全と健康のルールを図解しています。法令は厚生労働省の資料と条文で確認し、根拠を示して説明することを大切にしています。


